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震災から立ち上がった老舗温泉旅館の女将

仕事

震災から立ち上がった老舗温泉旅館の女将

福島の女将と職人の絆(上)廃業を覚悟したが「6代目の私がやめてしまったら、先祖に叱られる」

 様々な分野や場所で、情熱を胸に秘め、自らの使命を果たそうと、周囲の人たちに光を運ぶような生き方をしている女性。そんな生き方を紹介する連載です。

 1回目は、福島市・飯坂温泉の旅館「なかむらや」の女将、高橋武子さん(72)を紹介します。まもなく東日本大震災から6年。創業120年を超える「なかむらや」は、震災で建物に打撃を受けました。取り壊すしかないと言われ、廃業も覚悟した女将の高橋さん。避難してきた人たちにお風呂を開放しつつ、なかむらやの進退を探っていました。あるお客さんの激励に「戦争や困難をくぐりぬけてきた宿を終わりにするわけにいかない」と奮い立ち、文化財に詳しい大工と地元の建築家がその思いに応えました。今回は、震災から営業を再開するまでの物語です。

創業127年の温泉旅館・火事や戦争もくぐり抜け

「なかむらや」女将の高橋武子さん
「なかむらや」女将の高橋武子さん

 福島駅から電車で20分ほどのところに、飯坂温泉があります。なかむらやの初代は、福島市郊外の土湯温泉からこの飯坂に出て、花菱屋(創業1688年といわれる)の建物を買い受け、1890年に創業。大きな火事があっても、本館の「江戸館」は土蔵造りのため焼失を免れました。増築した「明治館」は総ケヤキ造りで、当時の名棟梁の工夫が生きているそうです。

 第2次世界大戦の際には、家じゅうのほとんどの金属を供出。都内からの学童疎開の宿となり、戦後は近隣の人たちの湯治場として営業しました。1998年には国の有形文化財に指定。3階建て、白壁の土蔵造りは、温泉街で目を引く存在です。目の前には、松尾芭蕉も訪れたという共同浴場「鯖湖湯」が。なかむらやののれんをくぐると、帳場に囲炉裏、大時計。昔のままの空間に迎えられます。

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