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川上未映子「子どもを社会で育てる」とは?[PR]

子育て・教育

川上未映子「子どもを社会で育てる」とは?[PR]

【第10回】自己責任という監視のなかで、「社会で子どもを育てる」って可能なの? どうすれば子どもがノイズじゃなくなるのだろう。

もし地震が来たら、よその子を守りきれないかも

 「ええ!?親友同士で念書?あんた突き詰めてんなあ」と驚いたのだけれど「ちゃうちゃう、べつに頼んだわけじゃなくて、書いて持ってきてくれてん。全身全霊であんたの赤ちゃんは大切に預かるけれど、うちにはあと二人子どもがおるから、万が一、直下型地震が来てものすごい状況になってしまったとき、最善は尽くすけれど、でもやっぱりわたしは反射的に自分の子どもの命を優先してしまうやろう。最善は尽くす、でも、どうなるかはわからへん。それは言うとかなあかんと思って、それでよかったら預かるって話してん。そしたら、一筆書いてもってきてくれてん」。

 た、たしかに……地震はいきなりやってくるものだ。自分がどれだけのことができるか、そのときになってみないとわからない。

最初それを聞いたとき「えー」とびっくりしたけれど、この話をべつの友人に話したら「……うん、逆にその人、すごい信頼できると思う」という感想を持ったようだった。5歳児なら一緒に遊ばせる、という感覚もあるけれど、赤ん坊の場合はとくに、「命をそのまま預かる」という感じがやっぱりするしね……そんなわけで、最初はじゃっかん引いてしまったわたしも、たしかにこれはきれいごとでない、自分を過信しない、じつに彼女らしい誠実さであるなと感じ方が変わったけれど、しかし預かるのに念書の覚悟が必要となれば、なかなかどうして難しいのもまた事実……。

 みなさんはどう思われますか。そして、社会で子どもを育てるって、実際問題、何がどうなることだと思う?

「温かく見守る」以上に、何がどうなることなんだろうね。まずは基本的なマナーは守ったうえで、それでも親から反射的に飛びだす「すみません」がなくなることだとは思うんだけれども。今日もフレシネを飲んで、そんなことを考えた。

■フレシネのウェブサイトはこちら

川上未映子

川上未映子

1976年、大阪府生まれ。小説家、詩人。07年、初の中編小説『わたくし率 イン 歯ー、または世界』が芥川賞候補となる。同作で早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。08年に『乳と卵』が芥川賞に輝く。09年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞受賞。同年に長編小説『ヘヴン』を発表し、芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞を受賞。13年、短編集『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞受賞。
ほかの著書に『あこがれ』『すべて真夜中の恋人たち』など。『乳と卵』『ヘヴン』をはじめ、著書は海外数カ国で翻訳されている。 プライベートでは、11年に作家・阿部和重と結婚、翌年長男を出産した。

連載バックナンバー

川上未映子のびんづめ日記2

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