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現役東大生 僕を見捨てた大人と同じになりたくない

子育て・教育

現役東大生 僕を見捨てた大人と同じになりたくない

(下) 生活保護家庭の子どもたちが背負う罪悪感、諦め、精神的圧迫

心から「同情するならカネをくれ」と思った

駒崎 なるほど。そのとき、当時の大人たちには何をしてほしかったですか?

島田 一番に浮かぶのは「お金を貸してほしかった」です。昔のドラマで「同情するならカネをくれ」という名セリフがありますが、僕の好きな言葉です。本当に心からそう思いました。僕は少しひねくれた性格もあったので、自分でなんとか現状から抜け出すすべを考えてここまでやってきましたが、そこまで至らない人のほうが多いのではないかと思います。そういうときに周りの大人が「君の希望をかなえるには、こういう方法があるよ」と提示してくれるだけでどれほどの救いになるか

 今、僕が低所得世帯の子どもたちに学習支援をしているのも、「僕は助けられる大人になりたい」という強い思いがあるからです。何もしなければ、自分を見捨てた大人たちと同じになってしまうので。「自己中心的にはなるな」と教育しながらも、いざというときに手助けしないような大人にはなりたくないのです。今ボランティアで関われる子どもたちに対しては、「君は何をしたいの?」から始まって希望に寄り添い、一緒に方法を考えるようなことを心がけています。

駒崎 実際に子どもたちと接していていかがですか?

島田 僕は世間知らずだったから真っすぐに挑戦しようと思えたけれども、ある意味で現実を知ってしまって最初から諦めてしまっている子や、親との関係がいいゆえに遠慮してしまって進学を諦めている子は多いのだと気付きました。

駒崎 なるほどね。親のことを考えると進学なんてできないと。

島田 はい。僕でさえ、自分がやったこと(世帯分離)は、親を切り捨てて家計に傷をつけたという罪悪感があるんです。

駒崎 島田君が成し遂げたことは、世間的には非常に評価されることだと思いますよ。それでも、自分の中では「親を切り捨てた」と感じているということなんですね。

島田 はい。世帯分離という言葉を聞いていつも感じることなんですが……、分離というのは、一体どちらからどちらをという意味なんでしょうかね。分離されるのは親なんでしょうか、子なんでしょうか。

駒崎 ……。

島田 見方によっては、子どもから親を切り離しているのではないかと、僕は感じているんです

駒崎 そうですか。当事者にしか言えない、非常に含蓄のある言葉ですね。

島田 なんというか、すごく残念なんです。子どものころから学校でも「親を大切にしなさい」とずっと教わってきたし、確かに何か明確に良い思い出があるわけではないけれども、親は親なわけで。でも、高校の教師からは「おまえの親とはもう縁を切ったほうがいい」とも言われて。なんでかなぁと。違和感ばかりが残りました。

駒崎 貧困の問題というのは単にお金がないということだけではなく、不適切養育といわれるような家庭としての機能が働かない中で、子ども側に信じがたい圧迫が生じたりする。そういう状況を見て「あんな生活保護家庭に」というバッシングが出てくるわけだけれども、いや、だからこそ、その家庭の子どもたちに支援が必要なのだと僕は思う。最後に伝えたいことはありますか? 世の中に対して。

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