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八代尚宏 今さら聞けない「働き方改革」の真の目的

仕事

八代尚宏 今さら聞けない「働き方改革」の真の目的

八代ゼミ連載(第1回)/“低成長時代の経済成長戦略”だと理解すべし

人口減でも成り立つ制度に変えていく政策が重要

 働き方改革の目的は、いわば低成長時代の経済成長戦略です。

 経済成長への寄与度は「1.人口稼働率を上げる」「2.配分効率を上げる」ことで測られます。労働力と人口は不可分の関係で、単純に人口の稼働率を上げれば労働力が増えます。ところが、国立社会保障・人口問題研究所の統計によれば2008年を境に、日本は人口減少化の一途をたどることが予測されています。この人口減少社会への対応として着目されたのが、女性と高齢者および外国人労働者です。女性、高齢者、外国人労働者を積極的に活用することで稼働率を上げるという算段です。

 ご存じのように、資本と労働は補完関係にあります。政府は景気回復のために企業に対して投資を促しますが、労働人口が減っている以上、投資はなかなか難しい。そこで、生産性の低い分野から生産性の高い分野へ「雇用の流動化」を図ることで配分効率(Total Factor Productivity:TFPと略す)を上げようという発想になりました。個人の所得が上がれば、社会も潤うため、せめて1980年の水準ぐらいまで、TFP面で供給を高めようというわけです(下図を参照)。

 「働き方改革」とはまさにそのための労働市場改革ですが、こうした説明は現状、ほとんど見当たりません。人口減少の解決策としては少子化対策がフォーカスされ、さらに働く女性が増えたのに預ける場所がない、という保育所問題が重視されています。

 子どもを持ちたい人が産みやすく、育てやすい社会に変えていくために出生率を上げる施策や待機児童問題の解決策を探ることはもちろん大切ですが、同時に人口が減っても成り立つ制度に変えていく政策を考えることが重要だ、というのが最大のポイントです。

 人口が増えることが前提だったこれまでの制度を、これからは、人口が減少してもそれに対応できるよう改革していく必要があります。ところが、言うは易く、なかなか構造改革が進みません。その理由として無視できないのが、今までの日本的雇用慣行を守りたい人、変えたくない人がまだまだたくさんいるという現実なのです。

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