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世界最低レベルの男性WLB 低出生率解消の鍵に?

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世界最低レベルの男性WLB 低出生率解消の鍵に?

歪つなワーク・ライフ・バランス改善のために便利になり過ぎた社会全体を見直そう

インド、フィリピンは高ポイント 日本は最下位

 以上は7カ国の比較ですが、世界は広し。比較の対象をもっと広げてみましょう。ISSPのデータから、36カ国のWLB指数を計算することができます。図1は、各国をWLB指数が高い順に並べたランキングです。はて、日本はどの辺に位置するか。

 インドとフィリピンでは4割を超えています。インドの男性は、仕事時間と家事・家族ケア時間がほぼ等しいようです。インド人男性の1週間の家事・家族ケア時間は35.5時間、フィリピン人男性は36.4時間、1日5時間以上です。大家族が多く、家事・育児・介護等の負担が大きいためでしょうか。

 日本はというと、36カ国の中で見事に最下位です。男性の「ワーク・ライフ・バランス」の実現度が、世界の最低レベルであることが知られます。L/(W+L)の比重が6分の1なんて、国際的に見てもやはり異常です。

男性のWLBが進んでいる国は出生率が高い

 ちなみに上図のWLB指数は、それぞれの国の出生率と相関しています。2013年近辺の合計特殊出生率(1人の女性が生涯の間に産む子ども数)と関連づけてみると、図2のようになります。両方が分かる、27カ国の相関図です。「瑞」はスウェーデンを指します。

 ご覧のように、2つの指標の間にはプラスの相関関係が認められます(相関係数は+0.4781で有意)。かく乱はありますが、男性のWLBが進んでいる国ほど出生率が高い傾向が見受けられます

 これが因果関係を意味するとは限りませんが、夫が家事をする夫婦ほど第2子以降の出生率が高い、という調査レポートがあります(厚労省『第13回・21世紀成年者縦断調査』2014年)。

 女性の負担が小さくなるわけですから、男性(夫)のWLBと出生率アップの関連は想像に難くありません。上記の相関図は、そのマクロ的な表現といえるでしょう。

少子化克服のためにWの短縮は至上命題

 現実問題として、男性のWとLを逆転させるのは不可能でしょうが、両者の比重を改善する余地は大ありです。今回の国際比較で分かるように、日本の男性のWとLのバランスは明らかに歪つ(いびつ)です。前者を縮め、後者を増やさないといけません。

 それは、社会の維持・存続に関わる至上命題ともいえるステージに達しています。少子化の克服という意味合いにおいてです。労働時間(W)の短縮には、生活の利便性が下がること(24時間営業の縮小、宅配便のサービス見直し、セルフサービス店の増加……)が伴いますが、そんな副作用を気にしている場合ではありますまい。いいかげん、便利になり過ぎた生活を見直す段階に、わが国は来ているのです

舞田 敏彦

舞田 敏彦

教育社会学者。1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。著書に『教育の使命と実態』(武蔵野大学出版会)、『教職教養らくらくマスター』(実務教育出版)、『平均年収の真実 31の統計から年収と格差社会を図解【データえっせい】』(impress QuickBooks)など。近著は『データで読む 教育の論点』(晶文社)

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