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30万人の小学生に「生きる力」の種をまいた10年

アスリートが先生に/JFA『夢の教室』(1)全国の小学校5年生とゲーム&トーク スポーツ界、自治体、企業も巻き込み大プロジェクトに

 「ユメセン」というプロジェクトをご存じだろうか? 正式名称は「JFAこころのプロジェクト『夢の教室』」。スポーツ選手として活躍した様々な競技のアスリートたちが「夢先生(ユメセン)」として全国の小中学校に派遣され、夢を持つことの素晴らしさや努力すること、仲間と協力することの大切さを伝える「夢の教室」を実施するプロジェクトだ。

 日本サッカー協会の社会貢献事業として2007年度から始まった同プロジェクトは、主に全国の小学5年生を対象に初年度、夢の教室を247回実施した。10年目となる2016年度は1682回に増え、10年間の実施回数は延べ1万回を突破、夢の教室に参加した子どもの数は、実に30万人以上。夢先生を経験したアスリートの数は1000人近くになっている。サッカー界のみならず、スポーツ界全体、そして、教育委員会をはじめとする自治体や企業も巻き込み、今後も拡大していくという。

 そんな夢の教室とは、いったいどんな授業なのか? 都内の小学校で夢の教室が開催されると聞き、その魅力を探るべく取材した。4回に分けて紹介する。

(1)30万人の小学生に「生きる力」の種をまいた10年 ←今回はココ
(2)永島英明 野球の努力がハンドボールで花開く
(3)川淵三郎「アスリートの言葉を子どもに伝えたい」
(4)子どもが夢を語ったら、最後まで話を聞いてあげて

ゲームの時間で緊張をほぐし、トークの時間へつなぐ

 「バーン!」と、ボールが壁にたたき付けられた衝撃音が、体育館中に響き渡る。

 2メートル近くもある大男が、子どもたちの頭越しに豪快なジャンプシュートを壁に向かって繰り出したときの音。そのド迫力に一瞬だけ静まりかえった子どもたちだったが、間髪を入れずに「おおー!」と、どよめきと歓声が湧き起こった──。

 ここは、東京都台東区にある大正小学校。小学5年生のひとクラスの子どもたちが体育館に集まり、夢の教室が開催されていた。この日、夢先生として訪れたのは、長身を生かしたポストプレーで活躍した元ハンドボール日本代表の永島英明さんだ。

 夢の教室は、主役となる夢先生をサポートするアシスタント、ディレクションをするディレクターの3人がチームとなって学校を訪問。スポーツ教室ではなく、学校の2コマの授業を使って行うもので、そのカリキュラムは、「ゲームの時間」(35分)と「トークの時間」(55分)の2つで構成される。ゲームの時間では、夢先生が子どもたちと体を動かしてゲームをすることで、緊張をほぐす。夢先生との距離を縮めるのが目的だ。

 ゲームの内容は、個々の運動能力に関係なく楽しめるものばかりで、ミッションを達成することで仲間と協力することの大切さや、相手を思いやる心、全力で取り組むことの楽しさが伝わるようなものが多い。夢の教室のメーンはトークの時間ではあるが、その前段として、夢先生との距離を縮めて興味を持ってもらうため、またクラスを一つにまとめるために重要な役割を担っている。

ゲームを進めると、全員がコミュニケーションを取るように

 ゲームの時間で最初に行われるのが、挨拶と夢先生の自己紹介だ。「ハンドボールをやっていた永島英明です!」と大きな声で言った後、「身長、何センチあると思う?」などと子どもたちに問いかけつつ、「今日はよろしくお願いします!」と挨拶。

 その後、夢先生をサポートするアシスタントから、「永島先生のこと、今日は何て呼んだらいいですか?」と聞くと、「ヒデちゃんにしよう!」と子どもから声が飛ぶ。「よし、じゃあヒデちゃんって呼んでね!」となって、ゲームが始まった。

 この日、行われたゲームは「並べ替えゲーム」。夢先生と子どもたちが一つのチームとなって、アシスタントに与えられたミッション通りに並び順を替えるというものだ。プレーヤーが移動できるのは、体育館にあるバスケットボールコートのライン上のみ。狭い一車線の道路で、クルマが行き違うことができないのと同じだと思ってもらえるといいだろう。

 ルールを守ったうえで、スムーズにみんなが移動するには、他のラインに戻ったりして譲るなど、お互いがコミュニケーションを取りつつ協力しながらミッションを達成しなければならない。何度か挑戦してみたが、うまくいかない。みんながヒデちゃんの周りに集まって2分間の作戦タイムとなった。限られた時間のなかで、意見を出し合って作戦を練るよう、アシスタントが促す。

 最初は限られた子どもたちからしか、意見は出てこないが、ゲームを進め、ミッションの難度が上がっていくうちに、限られた子どもだけでなく、全員が積極的にコミュニケーションを取るように。ミッションを達成すると、子どもたちは体いっぱいに喜びを表現し、ヒデちゃんとハイタッチをする。「チーム・ヒデちゃん」が醸し出す一体感は、素晴らしいものだった。

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