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電話の絵本も戦争の絵本も、19年で解釈が変わった

中井貴惠さん読み聞かせインタビュー(中)「偶然が重なって4人で始まった活動、“神様”が守ってくれて続けて来れた」

 保育園や小学校で19年間、これまで1250回もボランティアでの読み聞かせ活動をしてきた女優・エッセイストの中井貴惠さん。読みきかせの会を開始したきっかけは、一冊の絵本だったということなどを、前回記事でご紹介しました。中編となるこの記事では、19年間も読みきかせの会を続けてこられた理由、時代の変化、印象に残っていることなどを、お伺いしました。

小学校時代の同級生との出会い

—— 読みきかせの会は、昔からのお仲間とずっと続けてこられたと聞きました。どういう経緯で、タッグを組むことになったのでしょうか。

中井貴惠さん(以下、敬称略) 東京に戻ってからもずっと、読み聞かせに音楽を入れてやりたいなあと思っていましたが、誰か知り合いに一緒にやってくれそうなピアニストがいるわけでもない。時だけが過ぎていったのですが、ある日、小学校の同級生だった女性が私の家を訪ねてきてくれたのがきっかけです。

 聞けば、自宅のすぐ近くの幼稚園で母の会の会長をやっていて、私に子育てについての講演をしてくれないかと頼んだんです。そこで、講演よりも、音楽を入れて絵本の朗読をしたいと言ったところ、「私、ピアノ弾けるわよ」って(笑)。それが、今でもピアノを担当している荒井泰子さんとの再会でした。

 彼女はピアノが大好きで音大への進学を希望していましたが、お父さんが高校生のときに亡くなってしまったため断念したそうです。しかし、社会人になってからもピアノは毎日、3~4時間弾いているというつわものなんですね。「じゃあ、ちょっとこの絵本読んでみて」と、『つりばしゆらゆら』を渡したら、その1週間後に読み聞かせのためのオリジナル曲を書いてきてくれたんです。それが、どの曲も本当にステキだった。あっという間に、音楽とお話が完成したんです。

 そこで、音楽とお話だけでは子どもが最後までジッとして聞いてくれないかもしれない。絵を見せたほうがいいだろうという話になって、思い浮かんだのが次女が通っている幼稚園のママさんでした。バザーなど、幼稚園のイベントがあると、そのポスターを園からの依頼で描いている人で、聞けば「絵は大きければ大きいほど得意で、夢は銭湯の壁に大きな富士山を描くことだ」っていう人だったんですよ(笑)。

 それが、今も大型絵本を作っている、平野知代子さん。平野さんの目の前でお話と音楽を披露したところ、これまた1週間後に大型絵本を作ってくれました。結局、その絵本は大き過ぎて、めくれないことが判明したのでボツになりましたが(笑)、その後、1ページが畳一畳分くらいのサイズの大型絵本を完成させました。そして、大型絵本をめくる係に、平野さんの妹さんも加わって、4人で始めることになりました。

—— たまたま、うまい具合に役者がそろったという感じですね。

中井 荒井さんなんか、小学校3年生のときに転校してしまったので、それ以来会っていなかったわけですし、平野さんも絵が上手なことは知っていても個人的に付き合いがあったわけでもありません。それでも読みきかせの会をやりたいという思いだけでつながっていったという感じですね。最初は手探り状態で始めたのですが、2人は普通のママなんですけれどプロに負けないくらいの実力があった。そして、とても仕事の早い人たちだったんです。

 スタート時は、近所の幼稚園や私の娘が通う幼稚園や小学校などで公演するという感じでしたが、ある日、その活動を新聞に取り上げていただいたことでファクスが殺到。今みたいにウェブで希望する学校などに応募していただくといった形ではなかったので困惑しました。今では、学校の夏休みや冬休みなどの長期休暇をのぞく平日の2日間に活動をしていて、年間70~100公演くらいをこなすようになっていきました。

中井貴惠(なかいきえ) 女優/エッセイスト 1978年、早稲田大学在学中に映画『女王蜂』(監督:市川崑)でデビューし、数々の新人賞を受賞。1982年、映画『制覇』で日本アカデミー賞助演女優賞受賞。1987年に結婚。米国、札幌と移り住み、現在は東京在住。2人の娘を育てた経験などのエッセイやコラムなどの執筆活動も行う。1998年、「大人と子供のための読みきかせの会」結成。仕掛けたっぷりの大型絵本と生演奏を加えた独特の読み聞かせが人気を博し、幼稚園や保育園、小学校などで行われるボランティア公演は既に1250回以上。子どもはもちろんのこと、大人も絵本の話の世界に引き込んでいる。7月1日には、一般向けの自主公演「大人も子供も絵本の世界へようこそ2017 中井貴惠 with 大人と子供のための読みきかせの会」が品川区の「スクエア荏原 ひらつかホール」にて開催される。

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