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藤田俊太郎 デジタル時代の子たちにこそ生身の感動を

ブロードウェイ・ミュージカル『ピーターパン』演出家インタビュー/5歳のときに同作品のダークな部分に引かれた

 1981年に日本で初演されたブロードウェイ・ミュージカル『ピーターパン』。以来、夏休みの定番エンターテインメントとして多くの親子に愛されてきた本作が、37年目の今年、大幅リニューアルを果たします。新演出を手掛けるのは、蜷川幸雄さんの助手として修行を積み、数々の演劇賞を総なめにしている藤田俊太郎さん。子どもたちにどんな観劇体験をしてほしいと考えているのでしょうか。ご自身の原体験や“現代の子ども”観を含め、お話いただきました。

家族4人での東京旅行が『ピーターパン』だった

藤田俊太郎 1980年秋田県出身。東京藝術大学美術学部在学中にニナガワ・スタジオに入り、05年から16年まで蜷川幸雄の演出助手を勤める。演出家として『ビューティフル・ゲーム』『手紙』『Take Me Out』『ダニーと紺碧の海』等を手掛け、16年の『ジャージー・ボーイズ』では読売演劇大賞演出家賞、菊田一夫演劇賞を受賞。自身のグループ「虹艶Bunny」で幼児向けの音楽劇活動も行っている。
藤田俊太郎 1980年秋田県出身。東京藝術大学美術学部在学中にニナガワ・スタジオに入り、05年から16年まで蜷川幸雄の演出助手を勤める。演出家として『ビューティフル・ゲーム』『手紙』『Take Me Out』『ダニーと紺碧の海』等を手掛け、16年の『ジャージー・ボーイズ』では読売演劇大賞演出家賞、菊田一夫演劇賞を受賞。自身のグループ「虹艶Bunny」で幼児向けの音楽劇活動も行っている。

――ジェームズ・バリの小説『ピーターパン』は、永遠の少年ピーターパンに誘われてネバーランドを訪ねた子どもたちの冒険物語。舞台版はフライングなど楽しい趣向が満載ですが、最後には少女ウェンディが大人になり、もはやピーターと飛ぶことができなくなってしまう悲哀も描かれ、大人が見てもまた違った感動が得られる作品です。藤田さんは、本作の演出を熱望されていたそうですね。

藤田俊太郎さん(以下、藤田) 実は僕の人生初観劇が、まさしくこのミュージカル『ピーターパン』でした。5歳のとき、夏休みに故郷の秋田から家族4人で東京旅行をしまして、両親が“東京でやっているエンターテインメントを体験しよう”と、この舞台と野球の巨人戦、そしてディズニーランドに連れていってくれたのです。

――ご両親は演劇好きだったのですか?

藤田 いいえ、父は県庁職員、母は保育園に勤めていて、演劇には縁遠かったのですが、せっかくだから見てみよう、と。家族4人で観劇というのは贅沢なことだったと思いますが、普段は質素でも、ここぞというときにはお金を惜しまず、色々体験させてくれる両親でした。新宿コマ劇場という劇場で、ピーター役は榊原郁恵さんでしたね。一つ違いの妹は、ウェンディがかわいくて楽しかった、くらいしか覚えていないそうですが、僕は物語のどこかダークな部分に引かれ、強い印象を受けました。そんな演劇の“原体験”の演目だけに、いつか挑戦してみたい、と思っていたのです。

―― 5歳にして、物語のダークな部分を感じたのですね。

藤田 幕切れの、大人になってしまったウェンディの姿に、光り輝く物語の“影”のようなものを感じたのです。5歳の子どもにそんなものが感じられるのかと思うかもしれませんが、体格が違うだけで、子どもの感受性は大人並みですよ。僕は仲間たちと“虹艶Bunny”というバンドを作り、幼稚園などで絵本をモチーフにした音楽劇を上演する活動もやっているのですが、子どもたちは物語の影の部分もきちんと感じ取っているし、むしろ大人よりシビアで、怖い存在。本当に突き詰めたテーマや表現がないと満足してもらえません。

 大人の僕らが必死に考えて、子どもと一緒に歌を作ったり絵を描いたり、色々投げかけて彼らからビビッドな反応があったものを取り入れながら物語を進めていくのですが、子どもたちからは刺激を受けることばかりで、本当に勉強になります。この活動は僕が演出家として独立する前からやっているので、現在のミュージカル演出にも大いに影響を与えています。

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