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退職考える介護社員に「落ち着け、ここはサイボウズ」

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退職考える介護社員に「落ち着け、ここはサイボウズ」

サイボウズ・青野慶久社長インタビュー(上)介護との両立支援を語る

 日経DUALでは、働き方改革に取り組む管理職が知っておきたいマネジメントのノウハウを先進企業の事例と共に紹介する『育児&介護を乗り切る ダイバーシティ・マネジメント イクボスの教科書』を発売しました。いよいよ正面から向き合う必要性が高まってきた介護との両立支援を提案する本書を引っ提げ、会社のトップ自ら育児と仕事の両立をこなす「元祖イクボス」ことサイボウズの青野慶久社長に会いに行きました。ご自身の介護に対する心構えや、社長としての考えを聞きました。2回に分けてお届けします。

介護に直面したある社員のケース

日経DUAL編集部 以前DUALで青野さんに取材させていただいたときはお子さんが2人でしたが、今は3人になられたそうですね。

青野慶久社長(以下、青野) はい。長男が7歳、次男が5歳、長女が2歳です。女の子の育児は楽だと聞いていたのに、これが大変で。2歳児がおむつの柄に注文をつけてくるんですよ。「これは違う。ドキンちゃんじゃないとはかない!」って。おむつですよ! その点、男の子は何も考えていないから楽でいいです(笑)。

―― 以前とお変わりなく、バリバリの両立生活を送っていらっしゃるんですね。

青野 3人になった分、家事・育児の時間もボリュームもだんだん増えてきています。毎朝私が保育園に連れていきますし、食事を作る以外のことは結構やっています。あ、食事も木曜だけはパパ料理デーなんですよ。夕方6時には会社を出て、スーパーに向かいながら献立を考えます。

―― まさに毎日フル回転ですね。そこにもし介護が加わったとしたらかなり大変だと思うのですが、介護のことって考えてみたことはありますか?

青野 そうですね。私は今46歳ですが、例えば親のどちらかが急に亡くなったり、要介護状態になったりしたらどうしよう、ということは頭の中で常にシミュレーションはしています。私の両親は愛媛、妻の両親は三重に住んでいて、どちらも子どもが近くにいないので、親の一人に何かあるともう一人をどうするかということがあるんです。年齢は大体みんな同じで70代の半ば。元気とはいっても時々は入院したり、風邪が重かったりみたいな話はあって、そのたびに介護のことは頭をよぎります。

―― 書籍で介護の章を監修してもらったダイバーシティ・コンサルタントの渥美由喜さんによると、仕事で一番脂が乗っている40~50代で介護に直面する可能性が一番高いそうです。書籍『育児&介護を乗り切る ダイバーシティ・マネジメント イクボスの教科書』の56~57ページのグラフを見ていただくとよく分かるかと思います。

青野 「介護離職のリスクが高いのは『エース社員』」ですか! なるほどね…。

―― サイボウズは若い社員が多いのでまだ先かもしれませんが、今後もし介護のためにエース社員が突然退職するようなことが起こったら、会社としては大きな損失ですね。58ページにあるように、平均的な介護期間は約5年といわれていますが、実際は3カ月程度の短期間で他界する場合と、介護期間4、5年という平均的なケース、さらに10年以上続く3つのパターンが考えられます。介護が長期化するほど、思うように仕事がやり切れないストレスも大きくなります。

青野 正直言って、介護期間がどれくらいというのはあまり意識していませんでした。実はサイボウズでも介護との両立事例はありまして、ある女性社員が母親の介護のために岡山の実家に戻らないといけなくなったんです。切羽詰まった感じで、最初は会社を辞める話も出ていました。で、そのとき私は言ったんです。「落ち着け、ここはサイボウズだ。何でもありじゃないか」 と。

―― おおお。カッコいい!

青野 そういう事情なら実家で働いてもらえばいいということで、彼女は岡山に帰りました。基本は在宅勤務で、週に1回、大阪のオフィスに出勤しています。社員の誰かが実家に戻りたいと言うたびに、会社の拠点が増えていきます(笑)。

―― さすがは柔軟な働き方を推進してきたサイボウズですね。実際のところ、業務を進めるうえで支障は全くないのでしょうか。

同じビジョンに向かって力を発揮してくれる社員を求めている

青野 私たちはもともと、物理的に出社しなくてもデジタル上で出社する「論理出社」ができるんです。グループウェア上で常に情報共有がされていますし、社員の誰もがどこにいてもFace to Faceで会議にも参加できます。主催者自身が会議室におらず、遠隔から参加することもあるくらいです。こういうスタイルが社内では当たり前なので、「オフィスにいないとできない」ということが少ない。

 自宅で子どもと一緒に会議に参加する人もいるし、子どもが泣きだしたら「ごめん、うるさいからちょっと会議室のほうでミュートにして!」とか言ったりしています。だから、岡山に帰った社員の事情もみんなが承知しています。

―― それはいいですね。介護との両立は情報が少ないために「辞めなくてはいけない」と考えてしまいがちですが、具体的な事例があることで、後に続く社員の方々も「ああ、介護することになっても辞めなくていいんだ」と思えます。

青野 そもそも私たちは「毎日会社に出て、〇時間働いてほしい」という考え方を社員には求めていません。一人ひとりが働きやすい形であれば、1日に3時間働くのでも10時間働くのでもOK。大切なのは「いいグループウェアを作って世界中に広めたい」というサイボウズのビジョンに向かって力を発揮してくれることです

 労働人口が減っているこの時代に、フルタイムで働いてくれる人しか採用できませんと言っていたら会社を回していくことはできません。事業を縮小せずに済むようにするためには、多様な働き方を受け入れていくしかない。ただ、ビジョンの実現のためにベストは尽くしてもらいます

―― 働き方改革というのは限られた時間の中でいかにプロセスを凝縮するかということであって、楽ができるかのように勘違いされてはダメですよね。

青野 はい。社員に対しては、サイボウズの理念にコミットすることがまずは大前提です。そのうえで、ライフを重視してもいいですよということ。そうでないと、在宅勤務をしていても「あいつ、全然成果出さないじゃん」みたいなことになってしまいますからね。

 ――「下」編へ続きます。

(文/谷口絵美 撮影/花井智子)

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