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“教育費破産”って何? 教育費貧乏な家庭の末路

教育投資に詳しいファイナンシャルプランナーの小屋洋一氏に聞く

この記事は、書籍「宝くじで1億円当たった人の末路」の一部を抜粋しました。日経ビジネスオンラインの好評記事を1冊にまとめて、発売3カ月で8万部を突破した本書の中から、今回は、「教育費貧乏な家庭の末路」について、教育投資に詳しいファイナンシャルプランナーの小屋洋一氏に話を聞いた。(聞き手は日経ビジネス編集部の鈴木信行)

 子供の将来を考え、塾や習い事に通わせたいと思うのは、親として当たり前のことだ。ただ最近はそれがエスカレートし、家計が中長期的に破綻しかねないレベルまで教育費が膨らむ家庭が増えている。

 世帯年収1300万円で、娘をバイリンガルの幼稚園に通わせる。そんな人も羨むセレブ家庭でも、場合によっては、20年後、夫婦そろって路頭に迷う可能性があるという。

 “教育費破産”の恐ろしい点は、子供の小さい間はその予兆に気づきにくいこと。子供が大学受験を迎える時期から家計が本格的に圧迫され始め、親の役職定年を経て一気に顕在化する。もともと余分なお金がない平均的家庭より、年収1000万円程度の“小金持ち”の方が陥りやすいという教育費破産の罠。その現状と対策を専門家に取材した。

―― 具体的にどのような家庭が、教育費によって危機に瀕しているのでしょう。

小屋: 例えばこんなケースがあります。ご主人、奥さんともに38歳で、4歳になる娘さんが1人います。ご主人は外資系企業の社員で年収は約1000万円、奥さんもお勤めで約300万円の年収があります。

セレブ家庭が20年で自己破産の危機に

―― 世帯年収1300万円。手取りで1000万円弱といったところですか。なかなかのセレブじゃないですか。

小屋: ところが、現在の支出状況からこの家庭の将来資産をシミュレーションすると、娘さんが大学受験の準備を始める時期から急速に預金残高が減り始め、世帯収入もご主人が役職定年を迎える50代後半から大きく落ち込みます。

 その結果、ご夫婦が60歳になった時点で預金残高はマイナスに転落します。その後、夫婦の年金が想定通り支給されても、借金は毎年膨らみ続けて、65歳で1000万円、70歳の時点では3000万円を突破してしまいます。

―― まるで借金で借金を返済する、多重債務者状態じゃないですか。

小屋: こうなると、資産を切り売りして細々と食いつないでいくしかなくなってしまいます。

―― 年収1300万円の一家がわずか二十数年後に、そんな状況になるとは、にわかには信じられないんですが。

小屋: 最大の原因は、娘さんに対する高額の教育費にあります。このご夫婦は、娘さんの教育に極めて熱心で、バイリンガルの幼稚園に通わせており、月額14万円、年間約170万円の保育料を支払っています。小中高も私立に通わせ、大学では留学も経験させる計画です。それらの費用を塾代などまで含めて計算すると、教育費は総額で4000万円を超えることが分かりました。夫婦は2人とも英語が堪能で、奥さんも以前は外資系にお勤めでした。2人とも「娘が大人になる頃はさらにグローバル化が進み、異文化の人たちと対等に渡り合える力が生きる上で欠かせない。だから、英語も留学も絶対に必要だ」と考えているわけです。

―― それはそうでしょうけど、その代償として自分たちが70歳過ぎて「住所不定無職」になれば本末転倒でしょうに。

小屋: 本来、これだけ高額の教育プランを立てるなら、子供の教育費が本格的に上昇する高校入学前までに、相応の預金を貯めておかねばなりません。でもこの家庭は、教育費以外の支出も多く、貯蓄があまり増えない構造になっていました。

―― 確かにシミュレーションを見ると、娘さんが16歳を迎える時期の貯蓄額が2000万円弱ですか。ご夫婦はその時50歳代前半。年収、年齢の割には少ないようにも思えます。貯金額はそこがピークで、後はどんどん減っていきますね。

小屋: その頃から、教育費の支出が本格的に増えますから、致し方ありません。

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