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山崎ナオコーラ 「平等な負担」にこだわりすぎない

(下)子どものことでイライラしたことは1秒もない/「あきらめる」という言葉が大好き

 昨年、37歳で第一子を出産した作家の山崎ナオコーラさん。妊活、健診、保育園落選など、子どもが1 歳になるまでの親と子の毎日を綴った出産・子育てエッセイ『母ではなくて、親になる』(河出書房新社)が、今年6月に刊行されました。

 山崎さんが結婚や出産、育児を通じて感じた“違和感”は鋭く、ワーキングマザーはもちろん、誰しも共感・納得してしまうもの。上編「山崎ナオコーラ 「母親だから」と気負わずに生きる」に続き、1歳4カ月の子どもを育てている山崎さんに、育児を楽しくする秘訣や夫婦のあり方について話を聞きました。

育児でイライラしたことは、1秒もない

 出産前には、「私も出産したら『自分の時間が欲しい』と思うようになるのかもしれない」と予想していた。
 でも、現在、私はそう思っていない。ここにあるのは、自分の時間ばかりだ。
 「赤ん坊と一緒にいても、私のやりたい世話しかしていないな」と思う。

――「母ではなくて、親になる」本文より

日経DUAL編集部(以下、――) 今回のエッセイは、産後2カ月のころから執筆されていたそうですね。保育園も落選したというエピソードがありましたが、どのように執筆の時間を捻出していたのですか?

山崎ナオコーラさん(以下、敬称略) 育児をしていると時間が細切れになります。そのため、皿洗いをしながら内容を考え、子どもが昼寝をしている間にまとめ、夕方夫が帰宅した後に育児を交代し、1人で2時間くらいカフェに行って一気に書いて。朝4時に起きて、子どもが7時に起きるまでの3時間で書くこともあります。まるでパズルのように仕事をしています。

―― 仕事と育児に追われると、自分の時間が欲しい、とついつい思ってしまいます。

山崎 子どもと一緒にいる間も、常に自分は自分のまま生きています。今回のエッセイも子どもの身辺雑記のつもりが、社会的な話も書いているように、考えごとが触発されてどんどん広がっていきます。結果として、子どもオンリーの考えごとになっていないので、子どもと一緒のときも自分の時間を過ごしている、自分の時間を生きていると思います。

 それに、子どもの成長はとても早い。特に0歳児は、1カ月で顔つきも体つきも変わるし、できることも変わります。1歳を過ぎて歩くようになり、カタコトで話すようになりました。映画を観たい、と思うこともありますが、子どもを見ていると映画以上に面白いので、これでいいかなと思ったりします。

―― 育児でイライラしたことはありますか?

山崎 いまのところ1秒もないです。全然イライラしません。その代わり、仕事の悩みなど、他のことでイライラしています。子どもは癒しでしかありません。

 そもそも理想が低いというのが大きいと思います。それに、一緒にいるときは書かない、と決めています。子どもが動き始めたあたりから目が離せなくなり、子どもを見ながら書くのは無理だなと思いました。

 もともと世話好きという性格もあると思います。子どもが水をこぼしたときも、私はこういうことでイライラしないんだなと思いました。

 私はすべての言葉の中で「あきらめる」という言葉が好きなんです。「あきらめる」という言葉の語源は「あきらかにする」という古語からきているようで、自分や物事を明らかにすると天命が降ってくる、という捉え方ができると思っています。

 起こってしまったことはすべてあきらめようと思っていると、イライラしなくなるかもしれないですね。子どもといると、スケジュール通りに動けないというのはよくあること。こういう風なことが起こってしまったから、もうあきらめよう、という気持ちになると、うまくやり過ごせる気がします。

<span style="font-weight: bold;">山崎ナオコーラ</span> 1978年、福岡県生まれ。国学院大学文学部日本文学科卒業。2004年、会社員をしながら書いた『人のセックスを笑うな』で第41回文藝賞を受賞し、作家活動を始める。著書に、小説『浮世でランチ』『美しい距離』などのほか、エッセイ集『指先からソーダ』『かわいい夫』などがある
山崎ナオコーラ 1978年、福岡県生まれ。国学院大学文学部日本文学科卒業。2004年、会社員をしながら書いた『人のセックスを笑うな』で第41回文藝賞を受賞し、作家活動を始める。著書に、小説『浮世でランチ』『美しい距離』などのほか、エッセイ集『指先からソーダ』『かわいい夫』などがある

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