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フィンランド教育 未来を担う子どもたちへの投資

子育て・教育

フィンランド教育 未来を担う子どもたちへの投資

(1)ヘルシンキ市・フランゼニア保育園 幼児期の過ごし方は、その後の学習意欲や健康に影響する

PISA(OECDの国際学力調査)で好成績を挙げ、イギリス・ピアソン社による世界の教育水準ランキング2012年で1位に選ばれるなど、教育大国として各国から熱い視線を注がれるフィンランド。同国では、日本の学習指導要領に相当する「コアカリキュラム」の改定が約10年ごとに行われ、就学前教育(プレスクール)から義務教育までの9年生(日本の中学3年生)までの教育現場では、2016年秋から国の新カリキュラムを導入。今年秋からは、保育園(Early Childhood Education and Care/ECEC)での改革も実施される。

「子どもたちへの投資が未来の国力や社会全体の幸福へつながる」という意識が社会に根付き、社会の変化や子どもたちが抱える課題に対応したアプローチを地道に続けるフィンランド。本連載では、保育園(プレスクール)や小学校、さらに専門家への取材を通じて、教育現場や研究機関と連携しながらより良い教育環境の実現に取り組むフィンランド教育の最前線を紹介していく。

今回訪問したのは、児童数約200人の首都ヘルシンキ市内で最も大きな保育園「フランゼニア保育園」。保育園での活動の様子や現場の声を取材した。

プレスクール義務化 遊びを通じて、生きる力の基礎を学ぶ

 国際学力調査の上位常連国であり、教育水準の高さで知られるフィンランド。子どもの思考力や自主性を伸ばすことに重点を置いた教育制度で、国を挙げての細やかなサポート体制により子どもの学力格差が少なく、優れた教員養成課程があるのが特徴だ。

黄色い反射ベストを着て、お出かけタイム! フランゼニア保育園の園長代理ラウラ・マケラさん(写真左)は幼児教育の修士課程を修了し、幼稚園教諭の資格を持つ
黄色い反射ベストを着て、お出かけタイム! フランゼニア保育園の園長代理ラウラ・マケラさん(写真左)は幼児教育の修士課程を修了し、幼稚園教諭の資格を持つ

 同国の初等教育は7歳から始まるが、入学前の1年間(6歳)を学習の準備期間として、就学前教育(プレスクール)が義務教育化されている。現在90%以上の子どもたちがプレスクールに通っており、プレスクールから大学院までの教育費は無料。全ての子どもは平等に教育を受ける機会を保障されている。

 「保育園は、両親の不在時に子どもの世話をする役割であるのと同時に、幼児の心身の発達を促す教育を与える機関として考えられています。社会福祉部門の管轄であった保育園は数年前に教育文化省の管轄へと移ったことからも、“教育施設”としての保育園の役割が重視されていることが分かります」とは、フランゼニア保育園の園長代理ラウラ・マケラさん。

 男女共同参画が進み、女性のほとんどがフルタイムで働くフィンランド。母親の就労有無に関わらず、誰もが保育園に入れる権利が子どもたちに与えられている。

「悪い天気はなく、合わない洋服があるだけ」 外遊びの重要性

 幼児教育においては、外遊びによる体験を重視するほか、想像力を育み、“自分で活動を決めて自分で遊ぶ”という自由遊びの時間も大切にしている。毎日午前・午後の各1時間は外遊びの時間。子どもたちは広い園庭で自由に遊んだり、公共交通機関を使って、ヘルシンキ近郊の森へ散歩に出かけたりする。

 フィンランドには『悪い天気はなく、合わない洋服があるだけ』と言う言葉があるように、天候に合わせた服を着れば雨の日も雪の日も遊べると考えています」とマケラさん。

 北欧では夏の日照時間が長い代わりに、冬の日照時間が極端に短く、大人も子どもも太陽光によるビタミンDが不足しがち。-25℃前後が2週間ほど続くこともあるが、心身の健康保持のために、冬でも気温が-15℃以下にならない限りは外遊びを行うのだという。雨天や冬期の外出に、黄色い反射ベストの着用が必須だ。

雨の日にはゴム製のはっ水加工が施された服を、冬の寒い日には重ね着+防寒着を着用するなど衣服や活動内容の工夫で、ほぼ毎日外遊びを行う
雨の日にはゴム製のはっ水加工が施された服を、冬の寒い日には重ね着+防寒着を着用するなど衣服や活動内容の工夫で、ほぼ毎日外遊びを行う

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