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矢沢心 妊娠3カ月で鼓動を止めた、赤ちゃんの心臓

矢沢心さんと魔裟斗さん夫妻の4年に及ぶ不妊治療の記録。治療の長いトンネルの中で差した一筋の光。しかし訪れた残酷な現実

「院長先生は“名トレーナー”みたいだな」

 お医者様は、たくさんの患者さんを診てきて、同じ治療をしても同じような反応があるわけではないと知っています。だからこそ、「絶対」なんて言葉を使うはずがないと思っていました。そのお医者様が「絶対」と言ったのです。素直に「この人すごい!」と思いました。

 先生の自信は本物だ。この先生にすべてお任せしよう。そうすれば、私はきっとお母さんになれる。

 先生のひと言は、一度は揺らぎかけた私の気持ちに、もう一度火をつけてくれました。

 あとで夫にその話をすると、「院長先生は名トレーナーみたいだなぁ」と言いました。名トレーナーというのは選手をやる気にさせるもので、そういう人は必ず“魔法の言葉”を持っているのだそうです。

 この言葉を言えば、選手の闘志がかき立てられる。そんな言葉を今このときしかないというタイミングで伝える。それによって、選手は持っている力の何倍もの力を出すことができるのだといいます。

 院長先生は、まさしく私にとって名トレーナーでした。

 院長先生からは、「次に来るまでに、僕が書いた本を読んでみて」と言われました。その本には、「体外受精の採卵には麻酔を使用しない。採卵の針も細いため、体への負担が少ない」と書いてありました。前のクリニックでは、採卵に麻酔を使っており、麻酔が苦手な私はとても痛みが強く、つらい経験をしていたので、これは自分にピッタリなのではないかと思いました。

 実際に採卵をしてみると、採卵にかかる時間は驚くほど短く、採卵後の痛みもほとんどありませんでした。「こんなにも体がラクだなんて!」と驚きました。このとき初めて、あんなにつらかったのは、麻酔が体に合わなかったからなんだと実感したのです。

 それまでの私にとって、採卵がつらくても、それは「我慢すべきもの」でした。でも、本当はそんなことなかった。我慢しなくちゃいけないと思い込んでいただけだったと気付きました。

 そういう意味でも、このクリニックとの出会いは、運命だったんだと思います。

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矢沢心と魔裟斗の「諦めない不妊治療」

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