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矢沢心 妊娠3カ月で鼓動を止めた、赤ちゃんの心臓

矢沢心さんと魔裟斗さん夫妻の4年に及ぶ不妊治療の記録。治療の長いトンネルの中で差した一筋の光。しかし訪れた残酷な現実

転院して改めて知った、コミュニケーションの大切さ

 ただ、実際の診察は、これまでの先生とは全く雰囲気が違い、最初は私も大混乱してしまいました。それまで通院していたクリニックは女医さんだったので、私としては質問がしやすく、先生も丁寧に説明してくれました。でも、今度の院長先生は、とても忙しくて、しかも早口だったのです。

 最初の診察で、先生は「排卵日とタイミングを合わせたら、その日にクリニックに来て、フーナーテストを受けて」と言ったようなのですが、私はきちんと理解できていないままにしてしまい、タイミングをとっただけでクリニックには行きませんでした。次の診察の際、「なんで来なかったの?」と言われて、「ええええーっ! そうだったの!」とびっくり。

 それならメモをして先生の話を聞き漏らさないようにしようとすると、「メモはいいから、聞いて」と言われます。診察の最後に質問しようとすると、忙しい院長先生はすぐに診察室を出ていってしまうし、「もう、どうしようー!!!」とプチパニック状態に。院長先生は口調もハキハキとしていたので、なんだか気後れしてしまいました。

 けれど、そんな状態に手を差し伸べてくれたのも、院長先生でした。診察が終わった後、看護師さんが説明してくれるようになったのです。院長先生が「やることをメモにして渡してあげて」と言ってくださったらしく、メモも頂きました。

 それで、私はようやく気付いたのです。赤ちゃんが欲しくてここに来ているのに、このままじゃいけない。今までは自分から働きかけなくても与えられていたけれど、それじゃダメなんだ。赤ちゃんが欲しいなら、自分から食らいついていかなくては。

 それからは、まず質問したいことをまとめておくようにしました。忙しい先生にすべてを質問するのは申し訳ないので、調べられることは自分で調べ、そのうえでどうしても分からないことだけを質問することにしました。

 診察が終わって、院長先生が出ていこうとしても、もうそのまま見送らず、「先生、ちょっと質問が……」と呼び止めるようにしました。そうすると、先生もちゃんと誠実に答えてくれました。どうしても忙しいときには、「看護師さんに質問しといて。あとで答えるから」と言われることもありましたが、それは仕方がないこと。

 早口だとか、口調がはっきりしているとか、そうした表面的なことにとらわれるのをやめて、きちんと尋ねるようにすると、ビクビクする必要なんてなかったんだなと分かりました。質問することで自分自身の不安も少なくなっていったので、やっぱりコミュニケーションって大事だなと改めて思いました。

 院長先生は、「薬はあまり使いたくないんだけれど、あなたは使う必要性があるから、少しずつ使いますね」などと、常に私の体に合った方法を模索してくれました。

 私が最初のころ女医さんや家から近いクリニックにこだわっていたのは、「大きい病院では話をちゃんと聞いてもらえないのでは?」「男性のお医者さんの対応が冷たかったらどうしよう」という気持ちからでした。こじんまりしたクリニックで、女医さんだったら、きっと丁寧に話を聞いてくれるんじゃないかと思っていたのです。

 確かにそれまで通った女医さんは丁寧に答えてくれましたが、今となっては女性の医師か男性の医師かは、あまり問題じゃないと思うようになりました。それよりも、その医師や治療法、薬との相性のほうが、ずっと大事なのだと分かったからです。

 そのことが分かるまでに、ちょっと遠回りをしたけれど、遠回りをしなければ分からなかったことも事実。だから、麻酔が合わなくてつらかった日々も、無駄ではなかったと思っています。

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矢沢心と魔裟斗の「諦めない不妊治療」

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