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「日本一の給食」に込められた子ども達への思い

第8回全国学校給食甲子園。4回にわたる予選を勝ち抜いた12校が戦った結果、1位を獲得したのは……

 栄えある優勝の座は、以前、「給食作りは子どもの「命・人生・夢」を預かる仕事」で紹介した、松丸奨先生がいる東京都文京区立青柳小学校が勝ち取った。

 栄養士が30代の独身男性であること、調理器具の鍋がどのチームより多いこと、前日の出場校説明会でのプレゼンテーションの前評判が良かったことなどから実はこの日、取材のカメラクルーが一番多く張り付いていたのが松丸先生の調理台だった。

 子ども達の笑顔のため、幸せのため、毎日心を込めて献立を考え、給食を作る。もちろん、その情熱は12校のどの先生も同じだ。

 しかし青柳小学校を優勝に導いた理由があった。

 「地産地消」を命題とされた場合、都心の学校は極めて不利である。しかし学校栄養職員である松丸先生と調理員の大野先生は東京都の地場産物に徹底的にこだわった。さらに、その献立には子ども達へのメッセージが込められていた。

●江戸時代、西多摩地方で作られ始め、江戸の凶作の際、人々を救った「のらぼう菜」を用いた<のらぼうめし>
●馬込三寸人参、千住ねぎ、東京軍鶏肉、東京大豆、七国峠の卵を包み込んだ<江戸前つくねの宝袋>
●築地で水揚げされるマグロやあさりを用いた<すり流し小鍋立て汁>
●野菜嫌いの子ども達にも大人気の<はちみつにんじんゼリー>

 いずれも江戸から東京の食の歴史を食べることで感じられるもの。だし汁のうまみ、手間暇かかる献立作りにおける作業の手際の良さも高い評価につながったようだ。デザートにはにんじんに加え、練馬区で採れたはちみつ、金町の小カブをミルクピューレに仕立てている。

都心にある学校の「地産池消」への取り組みが高く評価された

 手の込んだ調理法はもとより、東京の郷土料理を味わうことで子ども達に、江戸時代から続く東京の味を「食育したい」という心意気の勝利だと言えるのだろう。このような食材を給食食材として提供するために、日々、自ら農家や生産者に掛け合ってきた先生の苦労が報われた瞬間かもしれない。もちろんそれは校長をはじめ、学校全体の協力無くしては実現できないことだ。

優勝した東京都文京区立青柳小学校。右側が学校栄養職員の松丸奨先生
優勝した東京都文京区立青柳小学校。右側が学校栄養職員の松丸奨先生

 松丸先生の優勝後のコメントは以下の通り。
 「明日からは、またただの一挑戦者です。できればまた来年も一挑戦者としてこの大会に臨みたいです」
 先生にとってはやはり、毎日が挑戦なのだ。コンクールというハレの日よりも普段の日々が大切。
 その覚悟と決意の一言がとても印象的だった。

 子ども達が毎日お世話になっている給食。当たり前のことだが、一品一品作り手の思いが込められている。

(ライター/砂塚美穂、撮影/川上尚見)

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