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共働き家庭ほど虐待は少ない 通説と逆の結果が出た

子育て・教育

共働き家庭ほど虐待は少ない 通説と逆の結果が出た

被害率最低は鹿児島、最高は大阪。育児の孤立化がリスクになる

 こんにちは。武蔵野大学講師の舞田敏彦です。今回のテーマは、児童虐待(child abuse)です。読者の多くは、共働きで子育てをしておられるママさん・パパさんでしょうが、「共働きだと子育てが疎かになる」みたいなことを言われた経験はありませんか。「共働き家庭では虐待が起きやすい」。ネット上では、こんな言説も飛び交っています。

 スマホの画面、あるいはパソコンのモニターの前で怒っている皆さんの顔が目に浮かびますが、現実はどうなのでしょう。地域別の虐待被害率を計算し、それが共働き世帯率とどう相関しているか。このような問題を追究してみることにしましょう。

 2012年度の厚労省『福祉行政報告例』をみると、同年度間に児童相談所に寄せられた虐待の相談件数が県別に掲載されています。子が第1次反抗期を迎えた段階で虐待は多いのですが、3~5歳児が被害者である虐待相談件数をみると、首都の東京では1021件となっています。同年10月時点の東京の3~5歳人口は30万1000人。したがって、人口1万人あたりの虐待相談件数は33.9件となります。この値を、幼児の虐待被害率とみなします。

 これは東京の虐待被害率ですが、他の県はどうなのでしょうか。47都道府県について同じ値を出し、4段階で塗り分けた地図をつくってみました。2012年度の幼児の虐待被害率マップです。

*計算式=3~5歳児が被害者である虐待相談件数/3~5歳人口×10000<BR>資料:厚労省『福祉行政報告例』(2012年)、総務省『人口推計年報』(2012年)
*計算式=3~5歳児が被害者である虐待相談件数/3~5歳人口×10000
資料:厚労省『福祉行政報告例』(2012年)、総務省『人口推計年報』(2012年)

都道府県別に大きな差

 幼児の虐待被害率の都道府県差をみると、最高の117.0(大阪)から最低の2.4(鹿児島)まで、甚だ大きな開きがみられます。児童相談所の立地状況や相談体制にもよるでしょうが、すごい差ですね。色が濃いのは50を超える県ですが、首都圏や近畿圏のほとんどが赤く染まっています。「虐待は都市で起こる」。こんな命題を立てられそうですが、青森、石川、大分などの地方県も赤色になっていることから、そう単純な構造でもなさそうです。

 さて、ここで明らかにしたいのは、各県の虐待被害率が共働き世帯率とどういう関連にあるかです。共働き世帯では育児に手が回らない、よってネグレクト(育児放棄)などの虐待が起きやすい…。このような説がありますが、そうだとしたら、共働き率が高い県ほど虐待被害率が高い傾向が観察されるはずです。はて、実態はどうか?

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