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「ひきこもり」になる子どもの親には共通点がある

上大岡トメさん×NPO法人育て上げネット×DUAL編集長座談会【前編】/無意識を意識化するだけで、結果は違う

“今”目の前にある子どもの姿を見ていない

羽生 特に物理的に離れていると心配でしょうね。うちの場合はまだ小学3年生と小学1年生なのですが、自分がついつい“前倒し育児”をしてしまっていることに気づきます。

 「来年には4年生になるんだから、そのために今これを頑張りなさい」とか、つい口にしてしまうんです。中学受験は別にしなくてもいいと思う。でも、本人が受験を望んだときには、成功をつかめるようにサポートする必要があるかもしれない。そのために今何をすべきか……とか。ふと気がつくとそんなことばかり考えている。最近の私の子育てにおけるテーマは「いつを生きるか」なんです。未来を見るのは悪いことではないですが、先ばかり案じて生きるより、「今このとき」を生きたいよねという。

トメ そうそう。今ではなく、次に起こることに備えて、今準備している、という状況なんですよね。

『子どもがひきこもりになりかけたら マンガでわかる 今からでも遅くない 親としてできること』(KADOKAWA)より
『子どもがひきこもりになりかけたら マンガでわかる 今からでも遅くない 親としてできること』(KADOKAWA)より

認定特定非営利活動法人・育て上げネット理事長・工藤啓さん
認定特定非営利活動法人・育て上げネット理事長・工藤啓さん

トメ すごくよく分かります。私自身もつい子育てでは、「困った問題が起こらないように」「本人が困らないように、今準備したほうがいいことがあるんじゃないかな」と常に考えていました。

工藤 親自身には「子どもを壊してやろう」という思いはないんですよね。すべて「善」の思いからやっているんです。

トメ 自分自身を振り返ると、今まで子ども達にやってきたことのすべてが「将来のための準備」。そして、“そのときの子ども達”のことを見ていなかったな、と思いました。子どものネタのマンガも描いていたので、取材の対象としては見ていたんですが(笑)、母親として子ども達の小さいころのことはあまり覚えていないんですね。

 そして、取材するうちに「自分自身も“今”を生きていないのかもしれない」と気づきました。過去にやってしまったことを後悔したり、まだ起きていない未来のことを考えたりしていて、今目の前で起きていることを全然見ていないな、と。ですから、この本を書くことで、親としての生き方を見直すきっかけにもなりました。

羽生 今回の取材で、一番ショックだったことは何でしたか?

トメ 実はどれもこれもズキっとくることばかりで……。「うちの子は、とうにひきこもりになっていてもおかしくない」と思えるようなことばかりを、私は言ったりやったりしてきたことに気づきました。

 中でも一番大きかったのは、子どもと親の価値観のギャップを認識していなかったことです。つい無意識に、自分の価値観をかぶせていた。特に勉強に関しては、私自身も夫も偏差値教育で育ってきたので、「とにかく勉強しろ、勉強しろ!」と。「中学校の勉強なんて暗記じゃん。やればできるよ」と。

 長女は高校が決まったときに「お願いだから、もう『勉強しろ』って言わないで。これからは自分で考えるから」と言いました。普段はひょうひょうとしている子なのですが、それだけは面と向かって言われて、よほどイヤだったのかな、と。それで、言うのをやめました。

羽生 えっ、言うのをやめられたんですか?

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