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一歩間違えば、私も子どもを殺してしまっていたかも

子育て・教育

一歩間違えば、私も子どもを殺してしまっていたかも

【「子どもの虐待&DV 私達はどうすれば…」特集】(1)作家・椰月美智子さん 編集長インタビュー/ふつうの家庭に虐待が忍び込む瞬間

椰月 本当にそうなんです。今回虐待のことだけを書こうとしたけれど、編集者のアドバイスもあり、夫婦関係と虐待のことを混ぜて書くことにしました。そうして書き終えて初めて、見えてきた答えがあったんです。それは、「男親がしっかりしていたら虐待なんて、起こらないんじゃないか」という結論でした。

―― なんと! そんな裏テーマがあったんですね!

お母さんより先に、お父さんが怒鳴る

椰月 書き終わって初めて、はっきり思ったんです。全部“男”が悪いんだって。

―― 「全部、男が悪い!」(笑) なかなか勇気あるご発言です。

椰月 男性が子育てを女性と同じ分量だけ、同じ熱量を持って担ってくれてさえいれば、虐待なんてことは起きないと思うんです。共働きの留美子のところもそうだし、あすみも専業主婦だからとすべてを任され過ぎているし、シングルの加奈の生活苦も、そもそも夫の不在が大きな原因です。

―― 夫は、子育ての大変な現場にいないことが多い、と。

椰月 たとえその場にいたとしても、子どもが大騒ぎしたり、手に負えなくなったりしたときに、母親より先に怒ってしまう父親は意外と多い。母親が怒ったときこそ、子どもの気持ちを父親にちょっとそらしてほしいのに、逆に父親のほうが「おめえら、うるさい!」なんて言って子どもをたたいたりしてしまう。これは本当にやめてほしいですね。

―― 実は、あすみのところも、留美子のところも、子どもに手を上げるのはまず父親でしたね。留美子の夫の豊は、悠宇(ゆう)の算数のノートをぐちゃぐちゃに破いたりして。そこも、すごくリアルなシーンの一つです。でも、登場する3人のお父さんが「すごく悪人か」というとそうでもないんですよね。

椰月 そうなんです。普通にいる旦那さんです。よくある話。

―― だからこそ、いつ、どんな家庭に虐待が起こってもおかしくないと思えてしまいます。

ある日突然、児童相談所の人が家に来る

―― シングルマザーの加奈は、経済的に貧窮しながらも一人息子の「勇」を支えに頑張っています。でも、次々と事件が起こる。そしてある晩に、児童相談所の人が家に来ますね。

椰月 はい、加奈が虐待を疑われたのです。この相談員は最終的にはすごく親身になってくれるんですが。でも普通、なかなか他人に家庭のことをそこまで話せませんよね。

―― 3家族のケースで言うと、夫の浮気とか、失業とか、貧困とか、それらはすごく閉じられたプライベートな空間で起きている。つまり悪化していく夫婦関係の中で虐待が家庭に忍び込んでいっているんですよね。だから私は「虐待は社会で予防しよう!」と正義感たっぷりに叫んでも、実はなかなか難しいものがあると感じています。実は……私も数年前に、児相(児童相談所)の人に家まで来られたことがあったんです。

椰月 え!? それはどんな状況でっ?

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