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なぜ「保育士不足」になっている?

【DUALのムック『保育園に入りたい!2017年版』ダイジェスト】(2)国は保育士の待遇改善策にようやく本腰。継続的な改善が期待される

 日経DUALから、「保活」に役立つムック『保育園に入りたい!2017年版』を発売しました。

 昨年とは違う今年の対策と傾向や、誕生月によって入園への道のりが違ってくる「保活年間スケジュール」の解説、園見学に持って行ける便利なチェックシートなど、ノウハウがたっぷり。もちろん、複雑な保育園の種類を整理して説明するほか、申し込みの方法、待機児童になってしまった場合の次の一手、ママの仕事復帰で準備すべきことなどについても優しく解説します。保活ビギナーのママ&パパだけでなく、出産を控えた同僚や後輩へのプレゼントに最適です!

 4回にわたって、『保育園に入りたい!2017年版』の一部を掲載します。保活中の方、これから保育園を探す方、ぜひご一読ください!

<ムックの目次>
【巻頭】 2017年の傾向と対策、保活年間スケジュール
【第1章】 保育園はじめの一歩
【第2章】 さあ、保活のスタートです!
【第3章】 もし「待機児童」になったら?
【第4章】 今、保活ママが直面している問題
【第5章】 「みんなのラクラク保育園検索」活用法
【第6章】 園が決まったら、復職後の保育園生活に備える

日経DUALのムック
これ一冊で保活がわかる!
「保育園に入りたい!2017年版」(税込1200円)

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 「保育士さんが足りない!」 あちこちの保育園で悲鳴が上がっています。いったいなぜ保育士が足りなくなってしまったのでしょう。どうしたら増やすことができるのでしょう。

保育士不足で保育園が増やせない!

 2015年10月の全国の保育士有効求人倍率の平均は、1.93倍、全国で待機児童数が最も多く保育園が急増中の東京都では5.39倍! 1人の保育士に5カ所以上の保育施設がラブコールを送っている状態です。

 新規開設したけれど保育士が採用できなくて開園が遅れたり、欠員補充ができなくて子どもの受け入れ定員を減らさなくてはならなかったりという話が聞こえていますが、保育士不足が待機児童対策の大きな壁になってきていることは明らかです。

人気の職業なのになぜ

 保育士はさまざまな人気ランキングで必ず上位にあがってくる人気職業です。それなのに、いったいどういうことなのでしょう。

 厚生労働省の調べによると、保育所(認可保育園の正式名称)で働く保育士は約41万人(2013年)いますが、保育士資格を持っているのに保育所などの現場で働いていない「潜在保育士」が70万人はいると見込まれています。保育士養成施設を卒業しても、保育園などに就職するのは約半数。資格を取ったのにほかの職業についてしまう人も少なくありません。

 そこで、ハローワークで保育士資格を持つ人に「保育士として就業を希望しない理由」を聞いてみると、下図のような結果になりました。

 簡単に言えば、仕事の負担や責任は重いのに、賃金が安いということです。

 賃金に関する統計調査でも、毎月の給料の額(税込)は、全産業平均が約33万円なのに対して保育士の平均は約22万円で、11万円もの差があることがわかっています。これでは、せっかく夢を持って保育士資格を取った人が保育士になってくれないという現状に、うなずかざるを得ません。

保育園の経営者の問題?

 普通に考えれば、人材が取り合いになっているのだから経営者が賃金を上げればいいのにと思うかもしれません。ところが、認可保育園などは、その運営費の大半を国や自治体から出る「給付費」によって賄っています。その給付費の算定基礎になっている人件費がそもそも低いので、経営者も賃金を上げられないのです。国が保育士の賃金をもっと多く見積もって給付費の改善をしなければ、保育士の待遇は良くならないというわけです。

 とはいえ、経営者によって人件費のかけ方には差があります。経営者が給付されたお金からたくさんの「もうけ」を上げようとすると、そこで働く職員の賃金は低くなります。

 給付費を出す国や自治体は、給付費を上げると同時に、実際の保育園運営に、そのお金がどう使われているのかチェックする必要がありそうです。

保育士の待遇改善が政策課題に

 今、国はようやく保育士の待遇改善に本腰を入れ始めています。

 「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名ブログの書き込みが国会で取り上げられて以降、待機児童問題についての国民の関心は高まるばかり。特に保育士不足を意識した保育士の待遇改善は、2016年夏の参院選の各党の公約にもなりました。ちなみに、自民党の公約は、保育士の賃金を全体で2パーセントアップし、キャリアに応じた上積みも検討するというものでした。2パーセントで実効性があるとは思えませんが、これからさらに財源を確保して継続的に改善していくことが期待されています。

 保育士はやりがいのある仕事ですが、子どもの命を預かる責任の重い仕事です。幅広い専門性が要求される上に、子どもと遊んだり抱っこしたりと体力も使います。

 東京都内の保育施設で働いている保育士が改善してほしいと願っていることを聞いたところ、下図のような結果になりました。

 賃金の改善の次に職員の増員が望まれていることがわかります。

※出典:「東京都保育士実態調査報告書」(2014年3月)東京都福祉保健局
※2008年4月から2013年3月までの、東京都保育士登録者で現在保育士として働いている者(正規職員、有期契約職員フルタイムおよびパートタイムを含む)を対象
※「現在の職場に対して、日ごろあなたが改善してほしいと思っている事柄はありますか」(n=8214、複数回答あり)の質問に対する回答

 保育士が足りないから、保育士の配置基準を下げろという意見が出たりしていますが、そんなことをしたら、子どもにとって保育の質が下がるばかりか、保育士の負担を増やし離職を促し、さらに保育士不足を悪化させることにもなりかねません

 まずは保育士が働きやすい、無理のない体制をつくっていくこと。それ抜きでは、保育士不足の解消も待機児童対策も進めることはできないでしょう。

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(本文/普光院亜紀 イメージカット/鈴木愛子 図版/平田毅)

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