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否定的な声掛けは子どもの反社会的な行動につながる

子育て・教育

否定的な声掛けは子どもの反社会的な行動につながる

親野智可等/「お母さん、私のこと嫌い?」「お父さんは僕を愛してくれていないんじゃないか」という思いが、子どもを「愛情確認行動」に走らせる

「酸っぱいブドウ効果」とのダブルパンチで「嫌い」になる

 もう一つの心理的な効果として挙げられるのが、「酸っぱいブドウ効果」です。イソップ童話に出てくるお話です。キツネがおいしそうなブドウを見つけます。でも、高いところにあるので、何度ジャンプしても届きません。とうとう、キツネは諦めるのですが、最後にひと言、こう言うんです。

 「あのブドウは酸っぱいから、僕は食べないんだよ!」

 そう言い張って自分を納得させました。これは、ブドウの価値を下げることによって、自分を保とうとする行動です。同じようなことが、子どもにも起こります。親が「また片付けをしていない! 何度言ったらわかるの!?」と叱ると、子どもは不愉快になります。そこで、自分を保つためにこう言います。

 「なんでお母さんはそんなにムキになるの? 片付けなんて、そんなに大事なことじゃないんじゃないの? 人生にはもっと大事なことがあるんだから」

 片付けをする行為そのものの価値を下げることによって、自分を保とうとするのです。これも全部、無意識のうちにやる行動です。親が勉強についてガミガミ言うほど、「勉強なんて、そんなに大切なことじゃないでしょ」となる。これが、酸っぱいブドウ効果です。

 このように、「脳の勘違い」と「酸っぱいブドウ効果」のダブルパンチによって、親が感情的かつ否定的に叱った物事は、すべて、子どもの中で「不愉快で価値の低いもの」という位置づけになってしまうのです。

否定的な言葉は、親が使わないように心がけるしかない

 ここで、否定的な言葉で強く叱ることの弊害を整理してみましょう。

1: 自己肯定感がボロボロになり、自己イメージが悪くなる

2: 叱られた瞬間に不愉快になる。素直になれず、叱るほど逆効果で、愛情不足から親への不信感が募り、愛情確認行動に走ってしまう

3: 叱られた対象の行為自体が「不愉快で価値の低いもの」になってしまう

 以上の3つを覚えておいてください。皆さんが何気なく垂れ流している否定的な言葉というのは、実に子どもたちにとって深刻な悪影響を及ぼすのです。ところが、こういったことに親はなかなか気づかないものですよね。なぜ、親はそのことに気づかないのでしょうか? それは、結果がすぐに見えるものではないからです。

 子どもは、親に叱られてもそれほど深刻に落ち込んだりしないかもしれませんし、平気な顔をしているように見えるかもしれません。何も心に響いていないのではないかと思えるほど平気だったりします。しかし、表面的にそう見えたとしても、実は本人の気づかない無意識的な部分において、大きなダメージを受けているということがあるのです。

 悪影響はすぐには現れません。格闘技で言えば、ボディーブローとかローキックのようなものです。言われている本人も気づかないまま、知らず知らずのうちにダメージが溜まっていきます。そして、ダウンに至ってしまう……。

 親にひどいことを言われたとき、「今、僕の自己肯定感が傷ついた」とか、「今、私は親に対する不信感を持った」などと、自分で気がつく子どもなどいるはずがありません。本人も気づかない無意識な部分で傷つくからこそ、ダメージが大きくなるのです。

 このように、親の言葉に対して、子どもは無防備なのです。やはり、親が気を付けるようにするしかないということを忘れないでいただきたいと思います。

(P3のイメージ画像/鈴木愛子)

親野 智可等

親野 智可等(おやの・ちから)

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山桂一。公立小学校で23年間教師を務めた経験と知識を、少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親達の圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数は4万5千人を超え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も月間15万PV。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。近著に『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』(PHP研究所)などがある。人気マンガ『ドラゴン桜』の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

國尾 一樹

國尾 一樹

コンテンツ企画・編集&ライター。早稲田大学卒業後、小学館の学年誌にてライター活動を開始。その後、主に週刊誌にて幅広いジャンルの特集記事、ルポ記事などを取材・執筆。ベネッセ『こどもちゃれんじぽけっと』の親向け情報誌にて父親のための子育て情報連載『オトコマエ育児』を担当した。以降、娘を持つパパライターとして、主に子育てや教育に関するメディアの特集記事や連載、書籍などにも関わっている。娘は現在、公立小学校と公設学童に通う1年生。“育児は育自”をモットーに毎日、娘から学ぶ日々を送りつつ、目黒区「子ども施策推進会議」委員として3年近く参加した。子育て&家事に積極的に関わろうとする父親のための集団やプロジェクトなどでも活動中。

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