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災害時の備え 避難所の感染で命を落とすこともある

子育て・教育

災害時の備え 避難所の感染で命を落とすこともある

子どもを守るために親が備えるべきこと。感染を防ぐ予防接種、子ども専用避難袋、母子手帳・お薬手帳の持ち歩き

感染症を防ぐのは石けんを使った正しい手洗い

 被災地では十分な水の確保が難しいため、擦り込み式のアルコール消毒液や、少量の水で洗うことしかできませんが、普段の生活でも避難所でも、感染症を防ぐ有効な手段は「石けんを使った手洗い」です。

 ユニセフは10月15日を世界手洗いの日と定めました。(参照:http://handwashing.jp

 途上国のデータですが、石けんによる正しい手洗いによって、下痢疾患が37%減りました。特に、指先・爪の周りは菌やウイルスが付着しやすいので念入りに洗うことが予防には有効です。傷があると汚れや菌が付着しやすいので、ハンドクリームでこまめに保湿を行い、日ごろから指に傷を作らないことも大切です。

 このように、災害時に危険が増加する感染症はたくさんあります。なかには防げない病気もありますが、ワクチンで防げる病気もあります。

「小さな子どもがいる人は自宅待機でもいい?」「携帯がつながらないときは?」参加者の疑問

 最後に質疑応答のコーナーがありました。参加者の疑問に、吉田医師、早川医師、阿真京子が答えます。

Q.百日咳や破傷風の追加接種はしたほうがいいですか?

A. 追加接種が望まれます

 「この2つは、日本では4種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオ)に含まれますが、大人になると抗体が下がってきてしまうので、30歳を過ぎたら追加接種が好まれます。百日咳は大人がかかっても咳がひどくなる程度ですが、乳児がかかると重症化しやすく危険です。避難所で流行して接種前の子どもにかかるのが最も怖いことです。追加接種の必要性については専門家が関係機関に働きかけているところです。破傷風菌は土壌に含まれるので、災害時に傷口から感染することがあります」(早川医師)

 「東日本大震災の際には、破傷風ワクチンをボランティアの人に無料接種していました。熊本地震の際も、地震直後にすぐにボランティアの人への接種に動き、流行が見られなかったと聞きます」(阿真)

Q.乳幼児がいます。避難所の感染リスクを考えると、自宅が住める状態なら、なるべく家で待機したほうがいいのでしょうか?

A.自治体の方針を確認して。自宅でも物資がもらえるか確認を

 「避難所はどこなのか、自宅が住める状態ならなるべく待機していたほうがいいのか、避難所は少しでも心配なら来てくださいというスタンスなのか、確認してみるといいと思います。お住まいの自治体で開催される防災講座に出るのもおすすめです。被災地の避難所では、周りに気兼ねをして避難所を出てしまった乳幼児のいる家族がいましたが、一度避難所を出てしまうと物資がもらえなかったと聞きます。避難所にいれば無料でもらえるものを、自宅にいると3時間コンビニに並んで買わなければならないということもあります。物資をもらえる権利を確保するために、昼間は家に戻り、避難所に席だけを置いていた人もいました。どこにいても、誰もが物資をもらえる拠点を作るよう働きかけているところです。不安・疑問に思ったことは、自治体にどんどん質問してみるといいと思います。住民からの問い合わせで初めて、対策について考え、動き出す自治体も多いです」(吉田医師)

 「私の住む杉並区では災害時の医療救護所に変更があり、災害拠点病院・災害拠点連携病院の中に緊急医療救護所を開設することになりました。災害時にはどこで医療を受けることができるのか、お住まいの自治体のHPで確認してみるといいでしょう」(阿真)

Q.非常時にスマホがつながらないことも想定して、アナログ的な準備もしておくべきでしょうか?

A.被災地から離れた遠方の親戚を連絡の中継地点に

 「東日本大震災のときに被災者同士が連絡を取るのに、被災地から離れた遠方に住む親戚や友人を中継拠点にして、伝言を頼んで連絡を取り合っている人がいました。被災地外の固定電話や被災地の公共電話は携帯電話よりもつながりやすいので、こうした拠点を決めておくと連絡が取りやすいと思います」(吉田医師)

Q.親が子どもを助けられない状況では、どうしたらいいですか?

A.普段から子どもと防災について話をしておきましょう

 「私は4女1男がいますが、2歳の子どもにも私と夫の携帯電話の番号を暗記させています。避難所の場所を教え、いざというときは周りの大人と一緒に行動して、頼るように教えています」(吉田医師)

 「私も子ども達と普段からシミュレーションしています。“もしこの時間に地震が起きたらどうする?”と質問を投げて、家族それぞれの居場所と避難場所を確認し合います。日ごろから子どもと話しておくことは大切だと思います」(阿真)

◆◆◆

 今回の講座でもお話があったのは、『平時にできていることこそが、災害時にできること』。日ごろから、身を守るために大切な手洗いや予防接種はきちんとおこなったうえで、怖がり過ぎず、少しずつ知識やツールを身につけたり、それを平時に活用したりしてみること。難しく考えず、できる工夫を日ごろから行っていくことが大切なのだと思いました。

(取材・文/中島夕子)

阿真 京子

阿真 京子

「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」代表。1974年東京都生まれ。マレーシアの国立大学で日本語講師、外務省外郭団体での国際交流に携わった後、夫と飲食店を経営。長男の病気で救急に駆け込んだことがきっかけで「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」を2007年に立ち上げ、各地で乳幼児を持つ父母向けの講座を開催。厚生労働省の検討会や東京都小児医療協議会などさまざまな会の委員を務めながら、国や自治体が主催するシンポジウムやセミナーで講演を行う。12歳、9歳、6歳、3人の男児の母。

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