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中室牧子 学力の「因果」と「相関」の違いに要注意

子育て・教育

中室牧子 学力の「因果」と「相関」の違いに要注意

『「学力」の経済学』著者インタビュー(3)/「本をたくさん読んだ子の学力が上がる」のか、「学力が高い子がたくさん本を読む」のか

「反事実」を思い浮かべるトレーニングを

―― この本ではあくまで経済学的な「平均」が紹介されています。つまり、「メカニズムを変える」という考え方を紹介してくださっているわけですが、これを教科書に、ママ・パパが自分の子どものメカニズムを考えようと思ったときに陥りがちなワナがあれば教えてください。

中室 もっともらしい話ほど、因果関係と相関関係を混同してしまいがちです。この因果関係と相関関係を混同しないために、「反事実」を思い浮かべるというトレーニングをすることをおすすめしたいと思います。反事実とは、事実の反対―すなわち、「仮に○○をしなかったらどうなっていたか」という、実際には起こらなかった「たら・れば」のシナリオのことです。

 私たちは日常生活の中でもこんなふうに考えますよね。

 「あのとき、この会社に転職していなかったら、今の収入はどうなっていただろう」

 「あのとき、彼と結婚する決意をしていたら、今頃、私はどんな生活をしていただろう」

 フランスの哲学者であるブレーズ・パスカルは「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう」と言ったといいますが、これらはすべて「反事実」の考え方です。

 つまり、スマホばかり見ていて全く勉強しないわが子が、「もしスマホを見ていなかったらどうなっていただろうか」と考えるのです。スマホを見ていなかったら、彼は机に向かって勉強していたでしょうか。たぶん、そうはならないのではないでしょうか。子どもが勉強しないのは、勉強がもとから嫌いだとか、勉強の習慣がないとか、勉強が分からなくて嫌になっているからであって、スマホを取り上げても、結局友達と遊んだり、ゲームをしたりするなどして、勉強以外のことに時間を使うだけです。スマホは一見、子どもの学力を下げている原因のように見えますが、本当の原因は他にあって、その本当の原因が何かということを明らかにすることなしに、子どもの学力を上げることはできないということなのです。

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中室牧子 「学力」の経済学

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