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中室牧子 学力の「因果」と「相関」の違いに要注意

子育て・教育

中室牧子 学力の「因果」と「相関」の違いに要注意

『「学力」の経済学』著者インタビュー(3)/「本をたくさん読んだ子の学力が上がる」のか、「学力が高い子がたくさん本を読む」のか

人の成功譚は注意深く読むべき

 ここで、繰り返し強調しておきたいと思います。因果関係を明らかにするためには、「反事実」を適切に想像できていることが重要です。因果関係がないのにもかかわらず、因果関係があるかのように勘違いしてしまうことは、たいていの場合、「反事実」をうまく想像できていないときに起こります。特に、素晴らしい偉業を達成した人の成功譚には注意が必要です。

 仮に子どもを有名中学に入れたという母親が書いた本に、子どもにスマホを使わせなかったと書いてあると、多くの人がスマホと学力の間に因果関係があると考えてしまう。しかし、反事実(=その子がスマホを使っていたらどうなっていたか)と考えると、子どもの教育のことで本を書いてしまうほどに教育熱心な母親の元で育てられたそのお子さんは、スマホを使っていたとしてもやはり学力が高かった蓋然性は高い。こう考えると、2つのことがらの関係が相関関係にすぎず、因果関係ではない可能性を指摘できます。正しく子どもの教育に投資をするために、「因果関係か、あるいは相関関係にすぎないのか」ということを把握することが極めて重要なのです。

(撮影/稲垣純也)

中室牧子

中室牧子

1998年慶應義塾大学卒業。米ニューヨーク市のコロンビア大学で博士号を取得(Ph.D.)。日本銀行や世界銀行での実務経験を経て、2013年から慶應義塾大学総合政策学部准教授に就任し現在に至る。専門は教育を経済学的な手法で分析する「教育経済学」。

「『いい大学に行けば、年収は上がる』。そう言われて、違和感を覚える人はほとんどいないだろう。しかし、『偏差値の高い大学に行ったから収入が高い』(因果関係)わけではなく、『将来の収入が高くなるような潜在能力が高い人ほど偏差値の高い大学に行っている』(相関関係)だけかもしれない」(中室さん)。2月17日に発売された『「原因と結果」の経済学』では、2つのことがらが「原因と結果」の関係にあるか正しく見抜くための「因果推論」の考え方を徹底的に解説している。

連載バックナンバー

中室牧子 「学力」の経済学

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