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先入観に捉われず自分達夫婦に合った形を模索したい

水谷さるころ×田房永子対談(後編)/夫に自分の本心を伝えるのは、“相手に対するサービス”

“成功設定値”を伝え続けることで、夫婦のコミュニケーションは変えられる

水谷 もちろん、あんまり言いすぎると今度は「注文の多い女」になってしまう。そう思われたくなくて「察してほしい」と黙ってしまう、というせめぎ合いはありますよ。

 でも、腹に怒りをためこんで秘するのがいいのか、って話ですよ。「相手がすごく喜んでくれた」というのはこのうえない報酬なんです。私は「こうしてもらうとうれしい! ありがとう!!」という成功体験を相手に与え続けることで、相手の行動をカスタマイズしてる感じがあります。うちの夫は細かいこととか、都合が悪いことは忘れちゃうタイプだから「オレは元々妻を喜ばせることができる男だぜ」くらいになってますよ(笑)! こちらの考えてる“成功設定値”、つまり「答え」を伝え続けることで、夫婦のコミュニケーションは変えられると思っています。私はケンカしてないときはずっと「いや~ほんと、あなたと結婚してよかった~」ってしつこいくらい言ってます。

田房 すごいなあ。

 私の場合、「キレやすさとか、家事のできなさとか、自分の性質が、家庭内の最大で唯一の問題」って長年思い込んでたんです。夫にも子どもにも何も問題がない、とにかく私一人にあると思ってたんです。『キレる私をやめたい』って漫画に描いたけど、どうにかしようといろいろやって、セラピーの世界に行き着いて「自分の心にピントを合わせる習慣」を身につけたんですね。

『キレる私をやめたい』田房永子著より
『キレる私をやめたい』田房永子著より

田房 私は、さるころさんのように言語化はできないけど、同じことをしているような気はします。私自身のセルフケアによって私が機嫌よくなることで夫に成功体験を与えているのかもしれない。ここ数年で明らかに夫婦関係がおだやかになったし、喧嘩も激減した。

 さるころさんは言葉にしたり、相手に伝える能力が高いし、何よりも、自分が何をしたいかがよく分かっているんだと思う。

 私はそれが、セラピーを通じてやっと分かるようになったんだよね。キレやすい時って、自分でもそれが分かってないんだよ。頭では「家事をちゃんとやるべき」「私はやればできる、なぜなら女だから」って、本来の自分とは全く違う風に思い込んでるの。それで、本当は夫のほうが得意だしやる気があるのに、「あなたはやらなくていい、なぜなら男だから」「あなたがやると私の女としての価値が下がるからやめて」みたいなオーラを家中に充満させてた。部屋は散らかる一方で、夫婦はお互いにイライラするという悪循環になってた。

 だけど、自分が本当に求めていることが自分で分かってあげられると、それだけでも自分自身が明らかに変わるし、その度に家庭内の空気もガラっと変わるんです。

水谷 私も最初の結婚のとき、そういう「ごはんは作れて当たり前、なぜなら女だから」みたいなの、すごいありましたね……。なんか、自分が思ってるよりも自分の無意識は自分以外の価値観をすり込まれてるって、なかなか気がつけない。

田房 『結婚さえできればいいと思っていたけど』では、そこを徹底的に振り返る時期についてが描かれていたよね。自分の本当の気持ちと世間体と、やらなければならないと思い込まされていたことがぐちゃぐちゃに混ざっていないか、いつも確認してると夫婦関係がスムーズになる気がする。

水谷 本当は自分が何をしたかったか、自分が分かっていないことって案外多いのかもしれないですよね。それに気づくためには知識もいるし、勉強もしないとわからないんだなって離婚してから思いました。「事実婚」のことを真剣に調べて、こんな選択肢があるなら、こっちのほうが断然いい。そう思ったので私達は事実婚を選びました。

 生まれ育って身についた価値観が本当に自分にぴったりだっていう人も世の中にはいると思うんです。うちの姉なんかは専業主婦で楽しそうだし。でも「あれ? なんか苦しいぞ」とか違和感があるなら、世間体とか親の反対とか世の中の結婚観の先入観に捉われない生き方を模索したほうがいいと思うんです。私はこれからも自分の心に寄り添った、自分達に合ったカタチを二人で試行錯誤しながら、カスタマイズしていきたいですね。

(ライター/砂塚美穂、撮影/川上尚見)

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