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「怪しい人に気をつけて」が子どもを危険に巻き込む

子育て・教育

「怪しい人に気をつけて」が子どもを危険に巻き込む

犯罪被害に遭わないためには、犯罪者が現れる場所を予測すること

 日本は世界でも安全な国だと言われています。しかし「残念ながら犯罪防止に必要な知識は欧米に比べ少ない」と言うのは、ケンブリッジ大学で犯罪学を学び、全国の学校で防犯教室を開いている立正大学の小宮信夫教授です。
 例えば「怪しい人についていかない」「怪しい人が近づいてきたら大声で叫ぶ」と言われますが、そもそも「怪しい人」ってどんな人でしょう? 犯罪が起こった後、テレビで「そんな人には見えなかった」と隣人が答える映像がよく流れますが、隣人でも「怪しい人」かどうか分からなかったのに、それが子どもに分かるのでしょうか。怪しい人が誰だか分からなければ「ついていかない」ことも「大声で叫ぶ」こともできません。
 親が子どもに教えるべき大切な知識は、もっと別のところにあるのです。
 この連載では、これまで実際に起きた事件を検証しつつ、子どもが犯罪被害に遭わずに済むための具体的なテクニックについて、小宮教授に解説してもらいます。また、記事の最後には、毎回、親子で実際にやってみてほしい課題を掲載します。記事を読み終わったら、ぜひお子さんと一緒にチャレンジしてください。
 初回である今回は、防犯訓練に取り組む前に知っておくべき基礎知識について、小宮教授に聞きました。

犯罪者に出会ってしまったら、もう手遅れ

──家や学校では、よく「怪しい人に気を付けて」と子どもに教えています。しかし、小宮さんは「それでは子どもが守れない」と言われます。

 そうです。残念ながら、それでは犯罪を防げません。それどころか、むしろ子どもを犯罪に巻き込む危険があります。

──むしろ危険というのは、なぜでしょう?

 あなたは犯罪者をどんな人とイメージしますか? サングラスをかけて、マスクをしている人? 子どもを狙った犯罪者をずらっと並べても、そんな人、ほとんどいません。むしろ、犯罪者は「不審者」と見られないように気を付けているのだから、その反対のルックスを心がけているはず。犯罪者は見ただけでは分からないのです。「不審者に気を付けて」という言葉は、子どもに「犯罪者は見れば分かる」という誤解を与えかねません。


「怪しい人に気をつけて」と言っても、怪しい人とはどんな人だろう。例えばこの9枚のイラストの中に怪しい人はいるだろうか。犯罪者は、外見だけでは見分けられないのだ(イラスト/いらすとや)

 他に、「人通りがない道や、暗い道は危ない」ということもよく言われますが、これも防犯的にはあまり意味がありません。

 子どもを連れ去ろうと考えている人は、子どもがいそうにない、人通りがない道には行きたがりません。むしろ、子どもがたくさんいそうな、人通りがある道に現れるはず。そこで犯人は、連れ去るタイミングを計っているのです。

 また、子どもを狙った犯罪者は、暗い道よりも、明るい道の方が好きです。明るい方が、好きなタイプの子どもかどうか確認しやすいし、そもそも、暗いときには、子どもはあまり歩いていないからです。

 ところが、親や先生から「暗い道や、人通りがない道は気をつけて」と言われている子どもは、明るい場所や人が多い場所では油断してしまい、犯人に狙われてしまうのです。


明るい場所だからといって、油断してしまうのは間違い

──なるほど、日ごろの注意が逆効果になってしまうのですね。それでは、「知らない人に声をかけられたら、大声を上げて逃げて」というのは?

 それも意味があるとは言えません。その前提にあるのは、「犯罪者が目の前に現れたら」ということですよね。しかし、犯罪者に出会ってからでは遅いのです。例えば交通安全教室で、「車にはねられたら、こんなふうに受け身をしなさい」とは教えませんよね。そうではなく、車にはねられない方法を教えているはず。犯罪に対しても全く同じことが言えます。

次ページ 事件が起きる場所には、共通点がある?...

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「怪しい人に気をつけて」では子どもは守れない!小宮信夫の防犯・安全教室

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