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「怪しい人に気をつけて」が子どもを危険に巻き込む

子育て・教育

「怪しい人に気をつけて」が子どもを危険に巻き込む

犯罪被害に遭わないためには、犯罪者が現れる場所を予測すること

事件が起きる場所には、共通点がある?

──つまり、犯罪者に出会わないようにする方法を教える、ということですか?

 そういうことです。そのためには、犯罪者が現れそうな場所が予測できるようになればいいんです。その場所が分かれば、あとはそこに行かなければいいんですからね。あるいは、どうしてもそこに行かなければならないときでも、誰かに一緒に来てもらうとか、用心して歩くとか、色々対策はできますから。

──しかし、犯罪者が現れそうな場所なんて、予測できるものなのでしょうか?

 できます。

 以前、イギリスの内務省が、少年院からの脱走が頻発したときに、その対策を検討したことがあるんです。そのとき、まず「脱走する少年達には共通点があるはず」と考え、調査を進めました。

──確かに共通点があれば対策はしやすくなります。

 しかし、残念ながら共通点は見つけられませんでした。

 ただ、調査を進めていくうちに、脱走が多い少年院と、少ない少年院があることが分かったのです。そこで、それぞれの少年院の建物を調べてみたところ、脱走が多い少年院には物理的な共通点が見つかりました。

──つまり、脱走する少年達の「共通点」は見つけられなかったけれど、脱走が発生しやすい少年院には「共通点」があったというわけですか?

 その通りです。

──脱走しやすい少年院の「物理的な共通点」は、ほかの犯罪発生場所にもあるんですか?

 あります。いろいろな調査の結果、領域性が低く、監視性が低いところで、犯罪が起こりやすいことが分かりました。

──「領域性」と「監視性」とは?

 「領域性」とは、自分の領域と相手の領域とが明確になっているということです。例えば、隣の家との間に柵があれば、どこまでが自分の土地か分かりますよね。だから、しっかり管理できます。しかし、柵が無くなってしまったら、そこがどちらの土地か分かりにくくなる。その結果、相手が入ってきても、故意なのか、過失なのか分からない。文句を言えばけんかになるかもしれないし、黙っていれば土地が占領されてしまうかもしれない。いずれにしても、そういう状況がトラブルを引き起こすのです。

 「監視性」とは、誰かに見られているかもしれないということです。人の目がある所では、悪いことができませんよね。例えば道にゴミを捨てようと思っても、両側にたくさんの家があり、窓から見られているかもしれないと思えば、なかなか実行できません。しかし、周りにまったく家がなければ、簡単にゴミが捨てられます。


家の窓から見えにくい道では、ゴミが捨てられていたり、落書きが消されていなかったりすることが多い。このように、「領域性」と「監視性」の低い場所では、ルールを破りやすくなる

 「領域性」と「監視性」と言うと分かりにくいから、私は「入りにくさ」「見えやすさ」と言い換えています。つまり「領域性が低く、監視性が低い場所」は、「入りやすく、見えにくい」場所。こういう所で、犯罪は起きやすいのです。

 ここで注意してほしいのは、「場所」という言葉にだまされないこと。「場所」と言うと、例えば「〇〇学校」や「〇〇公園」のように固定された土地のイメージになりますよね。しかし、考えてみてください。犯罪者は、地図を見て犯行場所を決めているわけではありません。見ているのは、住所ではなく景色。「ここでは、目撃されるかな」「ここは、すぐに入れるかな」というように、景色を見て、犯罪をするかしないかを判断しています。

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