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子育て・教育

溺れた時「助けて」と叫んではダメ。ではどうすれば?

合言葉「浮いて待て!」が、子どもの命を守る

 家族で海や川に行く機会が多い、夏休み。毎年この時期になると、海での事故が報道されます。警察庁の発表によると、平成26年中の水難事故の発生件数が1305 件で水難者は1491人、死者・行方不明者は740人。このうち中学生以下の子どもは、水難者が223人で、死者・行方不明者は55人でした。発生した場所別に見ると、河川が 29 人で海が14人。行為別に見ると、「水遊び」が32 人で「水泳中」が4人でした。
 水遊びの季節、子ども達を水難事故から守るためには、どうすればいいのでしょうか? 夏休み前に、品川区立第三日野小学校では水難学会による「浮いて待て授業」を行いました。今回は、その授業の様子をレポートします。
(日経DUAL特選シリーズ/2015年8月収録記事を再編集したものです。)

 2015年7月17日、品川区立第三日野小学校では、5年生を対象に「浮いて待て授業」を行いました。

 「浮いて待て」とは、溺れたときに「背浮きしたまま救助を待つ」というサバイバルスイミング法。この日、水難学会のインストラクター松本さんと一緒に「浮いて待て授業」を指導した東京海洋大学の田村祐司准教授によると、「着衣のまま水難事故に遭うケースが非常に多い。普段、泳ぎに慣れている人でも、着衣のまま泳ぐのは非常に難しい。そういう場合は、背浮きのままで救助を待ってほしい」とのこと。では、授業の様子を見てみましょう。

 授業では、実際に背浮きの練習を始める前に松本さんから次のような話がありました。「今日やるのは、海や川で溺れたときに、命を落とさないための訓練です。海や川で溺れたとき、通報してから消防の救助隊が駆け付けるまでに約8分かかります。これから、その8分間を浮いて待つ練習をします


フリップを使って「浮いて待て」の説明をする、水難学会の松本さん

空気を吸えば、体全体の2%は水の上に浮く

 体を浮かせる仕組みについて、松本さんはフリップを使いながら次のように説明します。

人間は空気を吸うと、体全体の2%だけ水に浮くようにできています。背浮きをすると、顔がその2%になります。顔が水面から出ていれば、鼻や口で呼吸ができますね。その状態で浮いていれば、溺れることはありません。しかし、足が下になるとどうなるでしょうか。体が縦になりますから、水面から出る2%は頭のてっぺんになり、顔は水面下に沈んでしまいます。これだと呼吸ができず、溺れてしまいますね


水の比重は1だが、人の比重は0.98。つまり体の2%は必ず浮く。この2%を鼻と口にすれば息ができるが、助けを求めて手を上げてしまうと、その手が2%になり、鼻と口は水没してしまう

 足が下にならないように、できるだけ足を浮かせていなければなりません。それには、どうすればいいのでしょうか。

 そこで松本さんは、持ってきた靴をプールの中に放り投げました。すると、靴は水の上に浮かびました。「靴は水より軽いから、こうやって水の上に浮かびます。つまり、靴を履いていたほうが、足が浮きやすいんです。では、ランドセルはどうでしょう。教科書が入っていて重いから、沈むかな?」。そう言うと、松本さんはランドセルをプールに放り投げました。すると、ランドセルも水の上に浮かびました。


教科書と同じ重さの本を入れたランドセルも、水の上に浮かんだ

 「ランドセルや靴のように、水に浮くものを身に着けていれば、体が浮きやすくなります。僕らは、こういった水に浮きやすいものを『浮力体』と呼んでいます。友達が溺れていたら、友達に向かって身の回りの『浮力体』を投げてあげてください。このとき、自分が友達を助けに行くのは、絶対にダメ! 大人でも、溺れる子どもは助けられません。だから、すぐに『消防119番』で救助隊を呼んでください

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