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山口照美 いじめ問題は「隠す」より「表に出す」

子育て・教育

山口照美 いじめ問題は「隠す」より「表に出す」

いじめ防止のLINEスタンプを子ども達が作る。大切なのは「一緒に考える」

「いじめ防止のLINEスタンプを子ども達自身が作る」──大阪市の小学校で民間人校長として働く山口照美さんのアイデアからスタートしたこの企画がネットニュースで紹介されると「そんなものでいじめは無くならない」「ズレている」などネガティブなコメントが続出しました。「スタンプごときで、いじめは防げない」という反応に、山口さんも「その通り」と答えます。「でも、それでも意味がある」と考える理由とは?

 敷津小は、子どものスマホ普及率が低い。今のところ、ネットいじめのトラブルは浮上していないが、いつあってもおかしくはない。中学の先生からは、LINEのトラブルを多く聞く。しかし、指導する側の教師や管理職は、スマホを使いこなしている人と「LINEなんか怖くてできない」と拒否反応を示す人に分かれる。

 私はパソコンやネットの発達とともに、20代・30代を過ごしてきた団塊ジュニア世代だ。校長になる前は広報関連の会社を自営していたので、ネットの普及とともにビジネスをしてきた。抵抗感はない。

 だから、新しいツールがトラブルになるたびに起こる「○○なんて無くしてしまえ」という禁止論には賛同できない。便利なツールは一気に普及する。ネットもLINEも既に「インフラ」と捉えている。インフラである以上、無くすのは難しい。子ども達は、大人に見えないように使うだけのことだ。私も、家族とのやり取りに活用しているので、無くなると困る。

「いじめを止めるLINEスタンプ」を作ってみよう!

 昨年の冬、かつてお世話になっていたコワーキングスペースで「LINEスタンプクリエイター講座」があった。夜の時間帯なので、仕事帰りに寄れる。手描きの絵がスタンプになるって面白い、と参加した。

 6年生男子が描いたイラストを、本人と保護者の許可をもらって持っていく。鉛筆で走り書きの落書きを、スマホで撮影してパソコンに送る。加工ソフトで色とコメントをつけたら、あっという間にスタンプができた。ゆるく愛嬌のあるイラストで、ふふっと笑える。そのとき、思った。


卒業生が、味のあるイラストを練習用にたくさん描いてくれた。子どもの自由なイラストに、可能性を感じる。公募でどんな作品が集まるか、楽しみにしている。

 「いじめ防止のスタンプを、子ども達自身が作るのはどうだろう?」

 この作り方なら、手描きイラストでも参加できる。子ども達は、「どんなスタンプがいいかな」と考えるときに、今までの会話を思い浮かべるだろう。嫌なムードの会話が続いた時、謝るきっかけが欲しいとき、自分が送るべき言葉やスタンプは、どんなものだろう? 話題を変えたり、クスッと笑わせて空気を変えたり、心地よいコミュニケーションに引き戻すには、どうすればいいだろう?

 スタンプの図柄を考えることで、日ごろの使い方や会話を振り返ることができる。

 そこで、漫画家である講師の方やコワーキングスペースの代表に相談し、「LINEいじめを防ぐスタンプ公募」の実施に至った(締め切りは10月20日。「LINE いじめ 防止 スタンプ」で検索)。

 できたスタンプを無料で配付するのが理想だが、スポンサーが100万円以上支払わなければできない。しかし、けっして営利目的ではない。そこでスタンプの売り上げから経費を除いて、いじめ防止に取り組む団体に寄付することにした。

 「いじめ防止のLINEスタンプを公募します」

 ネットニュースで紹介されると、ネガティブコメントが続いた。「そんなものでいじめは無くならない」「LINEを規制しろ」「ズレてる」……。

 もちろん「LINEの規制」「機能制限」は必要だ。しかし、それでは、システム変更を待つことしかできない。今、目の前にある課題に対応するには、ユーザーや教育関係者が動かなければ変わらない。仮に、LINEを規制しても別のツールが現れるだけだ。

 だから、「LINEいじめ」というよりは「いじめそのもの」をやめる策を練って、根本解決に近づけたい。

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