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喜久屋 社内に従業員の子が安心して過ごす場がある

小酒部さやか/昭和40年代から男女の垣根を無くす試みを続けてきた会社。その理由とは?

クリーニング業は繁閑の差が激しいが、業務の平準化を徹底

―― 素晴らしい。きっと理解のある職場づくりを日ごろから心がけていらっしゃるからなのでしょう。では、子どもの発熱や行事などで抜ける人をフォローする仕組みはどのようになっているのでしょうか?

中畠 生産の仕組み上のことで「多工程多台持ち」というスタイルを取っています。複数の作業台・機械と前後の工程をフォローし合う、というイメージです。「決められた仕事しかしない」というやり方はしていないですね。だから5人でも4人でも、極端に言うと1人でも仕事全体を動かせる仕組みになっています。要するにトヨタ生産方式の屋台生産みたいな方法で、労働者の都合がどう変化しようが、対応はできます。

 詳しくご紹介すると、私どもはお客様からクリーニングするものをお預かりする段階で、お客様に仕上がり日のご希望を伺っています。その希望日がすべて明日になることはまずありません。そうすると、工場に入ってきたときに出荷日(仕上がり日)ごとに予定を組むことができるわけです。極端な話、今週の土曜日に地域で運動会があって、お子さんを持つママが仮に10人休むとしたら、土曜日に10人欠員することはあらかじめ分かっているので、前倒しでその分を補えばお客様には迷惑を掛けずに済みます。

 計画生産に落とし込んで、それをコントロールできる仕組みがあり、その連動の中で柔軟なシフトが組めるようになっているということです。これはトヨタ生産方式がベースになっています。

―― このシステムができたのはいつごろですか? その当時、どういうことを意識されていたのでしょう?

中畠 20年くらい前、私の代になってからですね。皆の都合が会社の都合になることが一番ハッピーですので、そうするにはどうしたらいいか考えました。それに、従業員が気持ちよく働けるように知恵を絞ることは、経営を強くすることでもあるのです。

 クリーニング屋は繁閑の差が激しいものです。2月のお給料日前の木曜日くらいが一番暇で、4月の第1週の土曜日ごろが一番忙しく、その差は売り上げ金額にしておよそ14倍にもなります。繁閑に合わせて忙しいときは社員にも残業してもらい、暇になったら早く帰ってもらうというのでは生活や収入も安定しませんし、経営も不安定になります。最大瞬間風速に合わせた設備と人員を常時回してしまうと、仕事が減ったときにコストが嵩んで当然赤字になる。平準化することで、固定費を一定化できます。

 トヨタ生産方式で年間の生産量を平準化するということは、労働者と経営の両方の安定につながっているわけです。

―― ピーク時に対応しようとして慌てて残業しても、その他のときは意外と暇で会社の中でやることはないかと探したりするんですよね。そして残業が習慣になって、これといった仕事がないのに帰れないこともよく聞く話です。クリーニング業界ではこの平準化は浸透していますか?

中畠 まだこれからだと思います。人材不足を問題にしている会社も多く見かけます。仕事の最大値を見て、それに合わせたら人が足りなくなってしまうのは当たり前です。土日が一番忙しく、1週間の売り上げの半分を占めていますが、土日に合わせて人を置いておくと大赤字になります。私の会社では1週間をまず平らにして、次に季節の波を平らにすることをずっとやってきて、必要な労働力はほぼ1年中一緒になりました。


社内に掲示されている喜久屋の経営理念

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