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わが子を保育園で亡くした夫婦 事故防止策を作成

子育て・教育

わが子を保育園で亡くした夫婦 事故防止策を作成

【「今、保育園が危ない」特集】(7)息子の死亡事故から6年。父母が必死の努力で実現させた保育園事故防止ガイドライン

「大都会に出てくるのは久しぶりなのでドキドキしました!」。名古屋から新幹線で上京して取材会場に現れた栗並えみさん(37歳)は笑顔が爽やかで常に明るく、愛する息子さんを亡くした悲しい経験を持つお母さんとはとても想像できません。しかし、栗並さん夫婦の長男・寛也くんは、2010年10月29日、預けていた愛知県内の認可保育園のおやつの時間に起こった窒息事故により、40日間意識不明の重体で入院したのち、12月7日に、わずか1歳で命を落としました。最愛の息子を亡くした経験は栗並さんの心から消えることは決してなく、今でも辛い気持ちを抱えているに違いありません。それでも栗並夫妻は、この6年間、事故の再発防止のために前向きに活動してきました。

こうした最悪の事態を引き起こさないために、私達、保護者にできることはないのでしょうか。万一、事故がわが子の身に降りかかったとき、私達はどう行動すればいいのでしょうか。「保育の質」を考えるうえで、外すことができないテーマについて、子どもを持つ親である私達一人ひとりが今できることを、えみさんにじっくり伺いました。

【「今、保育園が危ない」特集】
第1回 「園の運営に対して不安に感じる」親は50.8%
第2回 「保育の質」は下降する!? 今、親にできること
第3回 保育の質を改善するには、親達の「つぶやき」が必須
第4回 保育園“モンペ”にならない上手なクレーム術とは
第5回 現役保育士の座談会「保護者には何でも言ってほしい」
第6回 公立園と民間園では雲泥の差。厳しい「保育士事情」
第7回 わが子を保育園で亡くした夫婦 事故防止策を作成 ←今回はココ!

入園前に「保育の質」を見極めるのは至難の業


栗並えみさん

栗並えみさん(以下、栗並) 私は2010年に第1子を事故で亡くし、その後、2011年に第2子、2014年に第3子を出産しました。今、その4歳の息子と、2歳の娘を保育園に通わせています。事故を起こした園とは別ですが、地域的には同じ愛知県碧南市にある認可保育園。長男の保育園と同じく、社会福祉法人が運営する私立の園です。

 長男が通っていた園もいい加減に選んだわけではありません。見学会で保育の様子を実際に見たのはもちろん、園内の子育て支援センターに生後1カ月ごろから定期的に通って、支援センターの先生にはとてもお世話になりましたし、園内の様子もよく見て「この園なら」と信頼して選びました。でも、今わが子2人が通う園と、事故が起きた園では違いが多々あります。振り返ってみると、長男の園に対しては、事故前から「何か変だな」と思うことがあったのです。その違和感を拭えないまま、結局事故が起きてしまったのです。

えみさんは「新米のママやパパが、入園前に“質の良い保育園”を見極めるのは難しい」と言います。

栗並 入園前の見学で明らかに園内の雰囲気が悪かったというなら別ですが、そうでない場合、第一子の保活であれば特に、保護者が確信を持って判断するのは難しいでしょう。私自身、長男の保活でちゃんと選んだつもりでしたが、実際に入園してみて「あれ?」と思うことが色々出てきました。

それは例えば、以下のような内容だったとえみさんは振り返ります。

* * *

【長男を預けた保育園で、えみさんが「あれ?」と思ったこと】

・ 朝夕の送迎では、保護者が園内に入らずに、保護者と先生達が玄関先で荷物と子どもを受け渡すスタイルだった
・ 0歳児の慣らし保育で、事前説明も無く家庭では未摂取だった牛乳をコップ一杯飲まされていた
・ 園から持ち帰った食事用エプロンにチョコレートがべったり付いていた
・ 餅つきのイベントで、1歳足らずの園児にお餅を食べさせることに対し、保育士が何の疑問も抱いていなかった など

* * *

「保護者が『何かおかしい』と思ったときは何らかの問題が潜んでいる可能性が高い」(えみさん)。えみさんもただ黙っていたわけではなく、疑問が湧くたびに「これはどうなのですか?」と聞くようにしていました。しかし、「これがうちの園のスタイルですから」「これまでもそうだったから大丈夫です」などと言われてしまい、何も言えなくなってしまったそうです。

入園後、4カ月が過ぎたころ、寛也くんは“卒業”していたはずの夜泣きを繰り返すようになりました。家庭での生活に原因として思い当たることがなく、えみさんは何度も連絡帳や口頭で園に相談しましたが、「(変わったことは)何もありません」「今日はこんなことをして遊びました」と見当はずれの返事をされるばかりで、えみさんの不安は膨らんでいきました。

栗並えみさん

2010年に認可保育園における事故で第一子を亡くした経験から、事故の再発防止のために活動している。政府の保育事故防止有識者会議に委員として参加中。2011年に第二子、2014年に第三子を出産した、共働きの母親。2014年に『保育現場の「深刻事故」対応ハンドブック』を専門家との共著で出版した。(* 栗並夫妻の体験・及びその後の活動については、2014年1月公開のDUAL連載「怒れ!30代。」の「保育園のおやつで窒息 子を亡くした夫婦の活動」で詳しく紹介しています)

こうした事故は保育園に子どもを預けている親にとっては決して他人事ではありません。しかし、待機児童問題が解決せず、保育園に入れるだけで精一杯という状況の中、“質の良い保育園”を探して選ぶことなどできるのでしょうか?

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