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子どもを叩いてはいけない。ならどうすればいい?

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子どもを叩いてはいけない。ならどうすればいい?

【「子どもの虐待&DV 私達はどうすれば…」特集】(3)子ども支援専門の国際NGOが普及する「ポジティブ・ディシプリン」(前向きなしつけ)を分かりやすく解説!

「子どもを叩いてもいいことは何もない」。頭では分かっている。でも、子育てをしているとどうしても手が出てしまいそうなことがある。「では、どうしたらいいの?」……。そんなママ&パパにとって回答になるかもしれないノウハウはいくつかあります。すぐに効果が出るとは限りませんが、まずはその中の1つを詳しく見てみましょう。今回ご紹介するのは、東京都豊島区が子育て世帯向けに開催するなど、自治体からも注目されている「ポジティブ・ディシプリン」です。4ページ目では、体罰が子どもに与える影響の科学的な分析について専門家に聞きます。第4回の「母親座談会『何度言っても聞かない。ついカーッと』」では、ポジティブ・ディシプリンを学ぶプログラムに参加した働くママ3人による座談会の様子をお伝えします!

【「子どもの虐待&DV 私達はどうすれば…」特集】
第1回 一歩間違えば、私も子どもを殺してしまっていたかも
第2回 児童虐待10万件超え時代の“駆け込み寺”リスト
第3回 子どもを叩いてはいけない。ならどうすればいい? ←今回はココ!
第4回 母親座談会「何度言っても聞かない。ついカーッと」
第5回 あなたも、DVを受けているのかもしれない
第6回 DV家庭で育つと子どももDV加害者になる?

ポジティブ・ディシプリンとは、子育てへの取り組み方への提案


セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのポジティブ・ディシプリン・カントリートレーナー、森郁子さん

 「ポジティブ・ディシプリン」を直訳すると「前向きなしつけ」。これはカナダのマニトバ大学の児童臨床心理学者であるジョーン・E・デュラント博士がまとめた育児の考え方です。デュラント博士が子ども支援専門の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンと協働開発したプログラムは、これまでカナダ、韓国、ニュージーランドなど世界約30カ国で活用されています。日本でも2009年にデュラント博士による著書の和訳が発行されています。

 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでカントリートレーナーとしてポジティブ・ディシプリンを普及している森郁子さんによれば、「ポジティブ・ディシプリンとは、子育てへの取り組み方への提案」です。

ベースとなるのは「子育ての長期的な目標」


左は『ポジティブ・ディシプリンのすすめ』(明石書店)、右は原著

 常に立ち返るイメージとして森さんが提示してくれたのが、本ページ下の写真にある積み木。

 「目の前の子どもの言動にイライラさせられてしまって、つい手が出てしまいそうなとき、その手を引っ込めるにはどうしたらいいのでしょう?」と尋ねると、「一番のベースとなるのが、育児における『長期的な目標を決めること』」とのこと。

 えっ!! 手を上げてしまいそうな瞬間に長期的な目標を考えるなんて、そんなの無理……と思うのは正直な反応です。「子どもに対してつい手を上げたくなってしまう理由は、この『長期的な目標』を後回しにしてしまうからでは?」と森さん。「その場で決めるのではなく、前もって確認しておくことが大事です」。

 「ポジティブ・ディシプリンではこのような場面を通して考えています」と森さんが話してくれたのが、以下の内容です。

あなたの家の、いつもと同じようなある朝のことです。お子さんは学校に行く支度をしていますが、出かける時間がどんどん迫ってきています。この朝、あなたがお子さんにやり遂げてもらいたいことは何ですか? つまり、あなたのこの朝の子育ての目標は何でしょう?

   ――『ポジティブ・ディシプリンのすすめ』 26ページより

 「どんなご家庭でもありそうな日常の風景です。ここで、お子さんに今すぐやり遂げてもらいたいことを考えてみてください」(森さん)

 これは簡単。いつも考えていることですから。

 テレビを消す
 朝ごはんを早く食べ終わる
 歯磨きをする
 道具を揃えて、スムーズに身支度をする
 靴下と靴を履く など

 「そうですよね。今挙げてもらったのは育児における『短期的な目標』です。ストレスが高まると、お父さんやお母さんはお子さんに向かって怒鳴り散らしたり、脅かしたり、ときには叩いたり、口うるさく言ったりしてしまう日もあるでしょう。これらの反応は実は脳の作用が関係しています。私達の脳には“感じる脳”(大脳辺縁系)と、“考える脳”(大脳皮質)があります。ストレスがない状態だと“考える脳”が働きやすく思慮深い対応ができますが、ストレスが高まると“感じる脳”が優位となり、衝動的な反応をしやすいというわけです。お父さんやお母さんがいつも感情的に子どもへ反応をしたとき、それらの経験から子どもに何が伝わるのかについて一度考えてみたほうが良さそうですよね? そもそも私達は、子どもが20歳になったとき、どんな人になっていてほしいでしょうか。どんな親子関係を築いていたいでしょうか」(森さん)

 うぐぐ。言葉に詰まると、森さんはこう話し出しました。

 「最も身近な大人であるお父さんやお母さん、場合によっては、おじいちゃんやおばあちゃんなど家庭の対応は、子どもの成長に影響を与えます。例えば、私達大人が怒鳴ったり、叩いたり、脅かしたりすることを通して子どもにものごとを伝えようとすれば、私達はそれを課題を解決する方法の一つの見本(モデル)として子どもに見せていると言えます。また、子どもに恐怖や不安を覚えさせることは、信頼関係を損なったり、子どもの自己肯定感を下げたりすることにも繋がり得ます。ですから、遠回りに思えても、まずは、お子さんにどんな人に育ってほしいのか。自分とどんな関係を築いていきたいのか、という『子育てにおける長期的な目標』を確認し、それを道しるべとして対応を考えていくことが大切だと考えています」(森さん)

 子どもの保護者として、大人は『短期的な目標』と『長期的な目標』の板ばさみになる場面も少なくありません。「それでもポジティブ・ディシプリンは、『子育ての長期的な目標』を見失わないことから始まる」と森さんは言います。


ポジティブ・ディシプリンの考え方の骨子を、分かりやすく表した積み木

<次ページからの内容>
・ 「温かさを与えること」と「枠組みを示すこと」って?
・ 「あと5分で遅刻するよ」と言われても、幼い子どもには分からない
・ 手が出そうなときにグッとこらえるための3つの方法
・ 体罰はしつけに有効? 体罰と虐待の違い
・ 体罰に関する過去の研究が私達に伝えていること

次ページ 「温かさを与えること」と「枠組みを示...

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