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小島慶子 ついにやってきた44歳、中年の危機!

生活・家事

小島慶子 ついにやってきた44歳、中年の危機!

久しぶりの不安障害。姉のことや夫のこと……自分を赦しながら思う。これがミドルエイジ・クライシスか!

 こないだ、パースで乗ったタクシーの運転手さんが同い年の男性で「俺、最近、なんかこのままじゃいけないと思って、すんごいローン組んで高いBMWにオプション付けまくって買っちゃったんだよね、そんでいま生活めちゃ苦しいんだけど、やっぱりBMWは売りたくないの。これっていわゆるミドルエイジ・クライシスだと思うんだー」って言っていた。おいおい大丈夫かと呆れつつ、ちょっと気になってたのだ、ミドルエイジ・クライシス。

風邪をひいて体がパンクして、不安障害の先生を訪れた

 どうもこのところ調子が良くないと、先日、数年ぶりに不安障害の主治医のところに相談に行った。不安障害の発症は次男を出産した11年前のことで、先生とは随分長いおつきあいになるけど、いったん症状が寛解してからは、ちょっと調子が悪い時や万が一の発作に備えてたまにお薬をもらいに行くぐらいで、本格的なカウンセリングの必要は感じなかった。

 ところが今年の春に、慣れない連載小説を2本抱えて〆切地獄の最中に、パースの自宅で久々のパニック発作を起こし、それ以降、ときおりプチ発作が起きるようになった。私にとって不安障害はもはやお友達で、ぎっくり腰と付き合うようなもの。薬を飲めばおさまるので、だましだましやってきた。でも秋口に久々に風邪を引いたら、さらに気持ちが北向きになったので、こりゃたぶん体がパンクしたんだなとメンテの必要を感じ、いっちょ先生に相談に行くかと思い立ったのだ。

 そもそも15歳で拒食気味になり、18歳から過食で体重が20キロ増え、20歳から30歳までは過食嘔吐でとにかく死にたい、という長い摂食障害歴を経て、33歳で次男の出産後に体力が落ちた時にどーんと不安障害になった私。そのベースにあったのは、生育家族との不和、具体的にいうと両親や姉との関係だった。もうそのことについては『解縛(げばく)』(新潮社)という本に書いたので詳しい経緯は省くが、両親も年老いて、私の中ではその問題は整理し尽くされ、あとはどうエピローグをつけようかというところまで来ていると思っていた。

 健在なのに言うのもなんだが、両親に対してはもはや「どのように送り出すか」という心境になっている。もうかつてのような母の過干渉に対する怒りや「私を承認して!」という渇きはない。父の威圧やご都合主義についても、今さら蒸し返す気はない。なにしろ二人合わせて162歳の老夫婦だ。私は「彼らも来し方を振り返り、様々な悔いや不安があるだろう。今は彼らを承認して安心させ、自分の人生は価値あるものだったと思わせてあげないとな」というゆるやかな看取りの作業を始めている。まだ元気なうちに始めておかないと、いざという時には間に合わない。後味が悪いのだけは、ごめんだ。

 ところが、その作業を進めるにつれ、姉とのことが気になり始めた。


鬱々と人生に思い巡らせながら、夫と二人、近所のビーチへ。引き波に砂がさらわれ、次第に埋もれていく両足をじっと見つめる私。少し離れたところで、水平線の彼方を見ている夫。ミドルエイジ・オン・ザ・ビーチ・・・

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