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共働きっ子から親への反発 負い目に苦しめられる

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共働きっ子から親への反発 負い目に苦しめられる

【もしかして、わたし毒親予備軍?特集】(4)脚本家・井上由美子 『お母さん、娘をやめていいですか?』にみる現代の母子問題

 「毒親」という言葉をご存じでしょうか。様々な定義がありますが、虐待や暴言、ネグレクト、過干渉などで、子どもを不幸にするような行動をする親のことを指します。ここ数年、書籍やメディアなどでもよく目にするようになったこの言葉。ただ、言葉は違っても「毒親」自体は、ずっと以前から存在したと言われています。

 子育て真っ最中のDUAL読者のなかには、「毒親」に育てられた苦しみを抱えていたり、自らの子育てにおいて「私って毒親?」と心配になったりしている人も、多くいると思います。DUAL5月号では、そんな毒親について特集として取り上げ、「毒親」になってしまう理由や、その苦しみからの脱却方法などについて、考えていきます。

 特集第4回では、“毒親”をテーマにしたリアルな描写が話題となったNHK連続ドラマ『お母さん、娘をやめていいですか?』の脚本家・井上由美子さんに、母娘問題の本質と社会的背景、自身の子育てについて話を聞いていきます。

【もしかして、わたし毒親予備軍? 特集】
第1回 「親が毒親だった」「自分が毒親かも」いずれも7割
第2回 心の葛藤「子どもとの関係」で解決しようとする毒親
第3回 あなたも例外ではない!毒親予備軍からの脱出法
第4回 共働きっ子から親への反発 負い目に苦しめられる ←今回はココ!
第5回 親から子、孫へ…毒親の負の連鎖を断ち切る方法

 今年1~3月に放映されたNHK名古屋放送局制作のホームドラマ『お母さん、娘をやめていいですか?』。波瑠さん演じる25歳の高校教師・早瀬美月が、友達以上に仲の良かった母・顕子(斉藤由貴)の過剰な束縛から逃れて精神的・経済的自立をしようとしたとき、母の常軌を逸した行動に発展して……。複雑に絡み合う母娘問題をサスペンスフルに描いた話題作だ。

 母・顕子は、机の中の娘の日記を読んだり、娘の彼氏をチェックしたり、デート現場のストーキングをしたり。「全部みっちゃんのためなのよ」「ママを一人にしないで」「松島さん(娘の恋人)とママとどっちが大事なの?」という具合に娘を偏愛し、無自覚に自分の属性として捉え支配していく。そんな顕子自身も実母との問題を抱え、心の傷を負う“娘”の一人。これまであまり語られることのなかった、母娘の「あるある」の部分が多くの共感を呼んだ。

 ごく普通の家庭が抱える母子関係の危険性、その本質とは? オリジナルの脚本としてこの物語を手掛けた井上由美子さんは、昨年、社会人となった息子を育てる一児の母。共働き母の視点からも、普遍的なこの問題についての考えを聞いていく。

「身内以外は頼れない」 一対一の窮屈な母子関係

日経DUAL編集部 井上さんは、母娘問題のどのような点に着目されてこの物語を描いたのでしょうか?

井上由美子さん(以下、敬称略) 「お母さんと娘の関係がすごく窮屈になっているな」ということを数年前から肌で感じていて、それは子どもの数が少なくなったり、母子が小さな家の中で向き合う機会がすごく増えているからだと考えていました。2006年に『14才の母』(14歳で妊娠し出産を決意した少女の心の軌跡と周囲の反応、命の尊さを描いたヒューマンドラマ)というドラマを書いたときに、妊娠した経験のある中学生たちを取材しましたが、そこでとても驚いたことがあります。皆さん、口をそろえて「友達なんかに絶対言えない」って言うんです。

—— 友達には相談できない。その子たちは、誰になら打ち明けられるのでしょうか?


脚本家・井上由美子さん

井上 友達に相談するといじめられるかもしれないし、メールや掲示板で拡散されるかもしれない。そうした不安から、“お母さんにだけ”相談するという子がすごく多かったんです。親世代の私たちのころは、むしろ逆で、家では叱られるのが怖くて言えず、信頼がおける周りの友達に相談するのが普通でした。でも今は、血のつながりのある身内しか信用できない。つまり、インターネットの普及などで他人を信用できない世の中になっているということです。

—— 母娘が密着するようになったのは、ネットの影響も大きいのでしょうか。

井上 ネットができたことにより、他人の悪意が見えやすくなったり、他人を信用できなくなったりということはありますよね。一方、お母さんのほうもママ友との関係に悩んだり、職場での繊細な人間関係が色々あったりする中で、一緒にいて安心・信頼できるのは「自分を慕ってくれる子どもだけ」という面もあります。きょうだいがいても基本的な構造は変わらず、母子“一対一の世界”がとても窮屈だなと思っていました。そうした母娘関係をテーマにした話を、5年くらい前から書きたいと思っていたんです。

—— 『14才の母』が放映された10年前には、LINEもTwitterもありませんよね。

井上 そうですね。でも、当時からパソコンのチャットや掲示板とかは結構使われていました。ちょうど、長崎・佐世保の小学生がインターネット掲示板の書き込みが原因でトラブルになり、殺人事件に発展したというニュースも話題になっていた時期です。

—— 5年前の物語の構想から、取材を進めるにあたり大きく変わった点はありますか?

井上 最初にこんなドラマにしたいというストーリーや展開を考えて、心理学者の信田さよ子先生に臨床心理考証をお願いしました。また、様々な事例を多くの方々から聞きました。デリケートな題材なので、ドラマだからといって、あり得ないような嘘はできる限りないようにしたいと思ったので。信田先生にご意見を伺ったり、カウンセリングに参加して母娘問題に悩む皆さんのお話を聞いたりした中で、細かいディテールに関してはドラマの中に取り入れましたが、最初にやろうと思った5年前から時代が大きく変わったということはないですね。『白雪姫』のような童話があるように、母娘問題は、昔からあるテーマなんです。ただ、取材を通じて、「母娘問題は私が思っている以上にヘビーだ」と思いました。


友達以上に仲が良い美月(波瑠)と母・顕子(斉藤由貴)。母の束縛から逃れようとする美月の行動から、まるで恋人との泥沼関係のような顕子の異常な行動へと発展していく

<次のページからの内容>
・ 過干渉と虐待、ネグレクト どれも苦しいし、どれも愛情はある
・ 30~40代は、親・子の毒親問題に悩む「真ん中の世代」
・ 共働きならではの母子問題は思春期に訪れる
・ 母は娘に「鏡のような存在を求めている」
・ 私も毒親だった 今だから客観的に見られる

次ページ 過干渉と虐待、ネグレクト どれも苦し...

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