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小島慶子さん 水平線のかなたの出会いを夢見て

WOMAN EXPO TOKYO 2017リポート(中)息子たちに家事を家庭内外注。労働者の権利も教えています

 歯切れのいいトークでDUAL世代の思いを代弁してくれる小島慶子さん。オーストラリアと日本の二重生活で多忙な中、日本に緊急帰国し、日経グループ主催の「WOMAN EXPO TOKYO」に出演しました。その後、日経DUAL編集長・羽生祥子が楽屋へお邪魔し、ロングインタビューを敢行。

 子連れ移住して気付いたことって? 異国での小島さんはどんな感じ? 息子さんたちをどんなふうに育てているの? そして、大評判の新刊小説「ホライズン」についてたっぷりお聞きしました。

WOMAN EXPO TOKYO 2017リポート
(上)NOKKOさん 家族が集まる日暮れ時は人生のご褒美みたい
(中)小島慶子さん 水平線のかなたの出会いを夢見て ←今回はココ!
(下)小島慶子×入山章栄 人数合わせの多様性なんて意味がない

異文化を知ることは、知らなかった自分に出会うこと

羽生編集長(以降、――) 2014年にパースに移住されて3年経ちましたね。北半球の日本と南半球のオーストラリア、仕事のある場所と自由でなんでもない人になる場所とを行ったり来たりの生活ってすごいですよね。読者の中には、ここではないどこかで生活したいと、小島さんの決断に憧れている人も多いと思います。

小島さん(以降、敬称略) オーストラリアへは一発逆転しに行ったわけじゃないんですよ(笑)。夫が会社を退職して、世帯収入が半減し、いわば夫の人生に巻き込まれた形でした。自分の中で、想定していたものがガラガラと崩れていき、手の中に残ったものを見てみたら、色々なものを失ったのと同時に、新たに乗っかっていたものもあったんです。それが、「東京以外でも暮らしていける」ということでした。そこで発想を変えて、教育移住という選択をしたんです。

―― 手放すものがあったことで、デュアルライフが手に入ったということでしょうか。

小島 そうですね。でもね、困難なこともあるんですよ。日本では、私は日本語を自在に使って自由に会話ができるんですが、向こうではコミュニケーションがうまくいかなかったりする。子どもの友達のママたちといっしょにいても、英語がよく聞き取れないときがあります。言いたいことがあるのにうまく言えない、言おうとするともう次の話題に移っていたりすることもあります

 それで、「私って口下手な人の気持ちが、全然分かっていなかったんだなぁ」と実感しました。会話に入りたいのに、うまく入れない苦しさや、自分の感情でさえどう説明していいのか分からないもどかしさが英語圏で生活して初めて分かりました。

―― 読者には外資系志望だったり、海外で働きたい人もたくさんいます。海外で働くというと一見華やかで働きがいのある環境のように見えるけれど、もしかしたら、そういう苦しい思いをする面も持っているかもしれませんね。

小島 苦しいかもしれないけれど、自分を知るチャンスにつながるという面もありますね。私も自分の中にある見えなかった偏見や不安を発見しました。

 よく行くスーパーで、あるレジ係の人がいつもぞんざいな物言いをすると感じていたんです。その時に、まず思ったのが、「人種差別だ!」ということ。けれど、しばらくして、考えが変わってきたんです。私がアジア系だからそういう態度なのではなくて、女性だからかもしれない。いや、たまたま嫌いな人に似ているからかもしれない。レジの仕事や職場の人間関係にうんざりしているのかもしれない。そんな風に、私の知らない別の理由があるのかもしれないのに「きっと人種差別だ」と思いこんでいる自分がいたんです。それは、私自身が持っている偏見のあらわれだったんですね

 こういう経験は苦しいしつらいけれど、自分を知るいい機会だと思います。異文化に触れれば戸惑いや不安も感じます。その分、その状況にならないと可視化できなかった自分の価値観にも気付けるんです。

 その価値観は、もしかしたら自分を不自由にしているものかもしれません。身の置き所を変えると、そういう自分自身の視野の狭さから自由になる気付きを得られることはあると思います

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