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子育て・教育

大竹しのぶ 子育てはもう一度したいほどいいもの

子育て中の90年代は音楽、映画、舞台がスッポリ抜け落ちるほど、精一杯子どもたちと関わっていた

 日本を代表する女優の一人、大竹しのぶさん。ギリシャ悲劇からフランスの歌姫ピアフまで、多彩な役柄に命を吹き込む演技が高く評価されている大竹さんは、最新作のミュージカル『にんじん』では14歳の少年を演じます。いじめやネグレクトなど現代にも通じるシリアスなテーマを含む同作品に、どう取り組んでいるのでしょうか。「毎日必死だったけれど、気が付けば親の私も一緒に成長させてもらえた」という自身の育児エピソードとともに、お話いただきました。

38年を経て、同じ役を演じる


大竹しのぶ 1957年東京出身。1975年に映画「青春の門 -筑豊編-」ヒロイン役で本格的デビュー。映画、TVドラマ、舞台にと幅広く出演。芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章など数多く受賞している。2016年NHK紅白歌合戦で反響を呼んだ『愛の讃歌』が好評発売中

―― 大竹さんは今、ミュージカル『にんじん』を稽古中だそうですね。原作は家族に愛されない孤独な“にんじん”少年を描いたルナールの名作小説で、大竹さんはこの舞台を38年前にも演じたとうかがいました。年月を経た今、作品について新たな発見はありますでしょうか?

大竹しのぶさん(以下、敬称略) 私は今年還暦で、もう一度演じてみたい役は何だろうと考えたときに浮かんできたのが、この役でした。38年ぶりに稽古してみて、私自身、音楽が全部思い出せましたし、一度しか見なかった家族や友人たちも作品名を言うと、「あの曲でしょう?」と口ずさんだくらい、覚えているんです。優しくて胸に響く、山本直純さんが書かれた音楽のすごさを改めて感じます。

 また今回、演出は(日本を代表する演出家の一人である)栗山民也さんがやってくださるのですが、台本を少し書き直して、よりリアルで深みのある作品になっています。以前は、いじわるな母とお兄さんに、末っ子の“にんじん”がいじめられていて、お父さんは助けてくれないという分かりやすい演出でしたが、今回は(第一次)世界大戦後、仕事がなくなって無気力になってしまった戦争経験者の父、彼の愛がもらえない寂しい妻がいて、夫にぶつけられないイライラがつい“にんじん”にぶつけられる。そしてかわいがられているお兄さんも実は孤独で……というように、家族の構造、現代社会に生きる人間の寂しさが、よりくっきりと見えてきます。

 例えば『夕食』という、とてもきれいな曲を歌うシーンがあるのですが、そこでは誰も会話をしません。ほのぼのとしたポスターのイメージとはちょっと違う、リアリティーある世界が広がっています。また、この作品はいじめも扱っていますが、38年前はいじめという言葉自体、今ほど日常的に報道される時代ではなかったと思います。今回の舞台では、子どもたちが実は信号を出していて、大人がなぜそれに気づけないのかという問題をちょっとした演出で表現しようとしています。

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