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「長時間労働の削減」は日本の雇用慣行を揺るがす

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「長時間労働の削減」は日本の雇用慣行を揺るがす

八代ゼミ連載(第3回)/過去の不況期に雇用を保障できたのは、長時間残業を減らして人件費を調整できたから

国を挙げての取り組みが注目される「働き方改革」。「同一労働同一賃金」が真っ先に取り上げられ、議論されています。政府の取り組みに先駆け、昭和女子大学では八代尚宏氏を座長に2016年9月~2017年2月の半年間にわたり、「労働法制の変化と『働き方』研究会」が開催されました。これからの働き方改革とは本来、どうあるべきなのか。この課題に対し、参加者の多くが、企業の人事担当者、女性活躍推進担当者、ダイバーシティー担当者だったこともあり、各回とも活発な議論が交わされました。今回は、長時間労働の削減が、日本人の働き方の歴史上でどのような意味を持つか、という点に迫ります。(以下、すべて八代氏 談)

日本の労働時間はなぜ長いか

 「残業を減らして長い労働時間を短くする」。長時間労働の問題は、とかくその点に議論が集中しています。しかし、病気の原因が分からなければ正しい治療法を取れないように、そもそも労働時間が長い原因を突き止めなければ経済学では解決策を導くことができません。まず、「なぜ労働時間が長いのか」、その理由を考える必要があります。

 1970年代には2100時間と先進国の中で突出して長かった日本の一人当たりの年間総労働時間は、先進国の中で生活を犠牲にして生産性を高め、輸出を伸ばすソーシャルダンピングとして非難されました。長時間労働が問題視されるようになった理由は、この日米経済摩擦であり、もう一つは健康問題です。このため、年間総労働時間を他の先進国並みの1800時間以下に引き下げるという目標が掲げられました。その後、1990年以降のバブル崩壊後の経済成長減速の下で減少し、2016年には1724時間になりました。


出所 厚生労働省「毎月勤労統計調査」

 それで日本の労働時間数は先進国並みになったと言われるのですが、これは大きな誤解です。

 平均労働時間が減少した最大の理由は、短時間労働者の増加という労働者の構成変化によるところが大きい。フルタイム勤務の社員に限っていえば、相変わらず2000時間前後を行ったり来たりと高止まりしたままで、未だ改善されていません。

 さらに言えば、平均的な有給休暇消化率は半分以下という低さも顕著です。海外からは「理解できない、信じられない」といわれるものの、日本では「どうやったら年20日も休めるのか」という意見が少なくありません。とはいえ、これは「有給休暇が取れないような働き方をしているから取れないのだ」とは考えられないでしょうか。


2016年9月~2017年2月に昭和女子大学で開催された「労働法制の変化と『働き方』研究会」の様子

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