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子育て・教育

不登校親の心得「子から離れ自分の楽しみ探そう」

「『わが子がプチ不登校だ』と感じたら・・・」セミナー報告(下)友達が少なくたっていい。子がやりたいことが動機となれば、事態は動く 

日経DUALでは2017年8月に不登校児と親に向けた特集を組み、大きな反響がありました。不登校児が増え続ける背景にはどんな問題があるのでしょうか。ひきこもり当事者と家族を支援するNPO法人「育て上げネット」が主催したセミナー「『わが子がプチ不登校だ』と感じたら…」には、不登校問題に日々向かい合っている専門家が登壇。不登校の親の対応の仕方や子どもの気持ち、学校以外の支援にはどんなものがあるのかなどが取り上げられました。不登校問題の難しさを認識しつつも、明るくユーモアのある登壇者の発言に会場が笑いに包まれる場面もあり、60分のディスカッションは充実したものとなりました。上編に続き、ますますヒートアップしたディスカッションの様子をお送りします。

「『わが子がプチ不登校だ』と感じたら…」セミナー報告
(上) 不登校の親はSPにならず、子を家で安心させて
(下) 不登校親の心得「子から離れ自分の楽しみ探そう」

パネリスト
黒沢正明さん
八王子市立高尾山学園校長。企業勤務を経て、平成24年(2012)年度八王子民間人校長公募により、平成25(2013)年度から現職。登校したくてもできない児童・生徒のために設立された公立の小・中一貫校(不登校特例校)の学校長として、子どもたちをサポートしている。

斎 典道さん
NPO法人PIECES」理事で、スクールソーシャルワーカー。日本福祉大学在学中より国内外の社会的養護・地域子育て支援の現場でフィールドワークを実施。2012年、デンマークで北欧の社会福祉を学ぶ。大学在学中にNPO法人PIECES設立に参画。独立型ソーシャルワーカーという新たな道を切り拓いている。不登校や引きこもりの現場では、子どもたちの気持ちを理解してくれるお兄さん的存在。

蟇田 薫さん森本多美子さん森裕子さん
いずれも認定NPO法人 育て上げネットが運営する家族会「結」の相談員。「結」ではつまずいた若者たちの家族を支援し、子どもの自立のために今できること、生活の中から始められる具体的なことなどを、悩める保護者とともに考え、提案するコンサルティングを行っている。

コーディネーター
日経DUAL編集長 羽生祥子
今回のディスカッションでコーディネーターを務めた。プライベートでは小5と小3のママ。他のパネリストと違い、“不登校と引きこもり”に関しては壇上で唯一の素人。不登校気味だったり、不安にさいなまれているお父さん・お母さんを身近に見ている経験から専門家に質問を繰り出した。

見張りタイプの親が子を放っておいたら子どもが変わった!(蟇田)

リポート前編では、不登校の親には悩みを話せる相手が少ない傾向があるという意見をお届けしました。黒沢先生によるとそういった場合、子どもも同じような傾向があるのだそう。黒沢先生からは解決法として「親も楽しいこと、うれしいこと、おいしいことを共有しましょう」というアドバイスがあり、さらに「親もぜひ色々な人と友達になってください」と提案します。黒沢先生の提案を受け、蟇田(ひきた)さんがある例を紹介してくれました。

蟇田 「結」の会にお子さんの不登校の相談に来られていた方がいます。子どものことをずっと見張ってしまうSPタイプのお母さん(「不登校の親はSPにならず、子を家で安心させて」参照)でした。

 そのお母さんは、中学生のわが子が学校に行くことに期待して、毎日、念仏を唱えるように「いつになったら学校に行くの?」と本人に尋ねていました。でも、事態は一向に改善しませんでした。次第にお母さんのほうがまいってしまい、精神的にもダメージを受けている様子でしたので、私はお母さんに「ご自身が若い頃から楽しんでいたことはなんですか?」と聞きました。

 お母さんは「走ることが好きなんです」とおっしゃいました。ご自身も友達が少ないタイプで、友達と食事やお茶をするより、ひとりで行動することのほうが好きだったのです。

 それならばということで、東京マラソンにチャレンジしてみませんかとおすすめしたところ、運良く抽選に当たり、エントリーが決まりました。お母さんは東京マラソンを完走するという自分の目標に向けて、毎日一生懸命走るようになります。すると、何が起こったと思いますか?

  SP状態だったお母さんが、不登校の子を‘放っておく’ようになったのです

 すると子どもはお母さんが頑張っている姿を見て、お母さんを応援するようになりました。東京マラソンの当日は普段は部屋から出てこない子どもが沿道に出て、お母さんを応援しました。そして、お母さんが完走したあと、「僕、通信制の高校に行ってみようかな」と言ったのです。

 お母さんは特別なことをしたわけではありません。走ることが好きなお母さんが、自分のやりたいことを始め、子どもに期待することを忘れたら、事態が動いたのです。

 このようなケースもあるので、お母さんが自分にとって何か楽しい状況を作るのも、ひとつの手なのではないかと思います。友達を作るのが苦手な方なら、無理に友達作りをしなくてもいいのです。昔取った杵柄ではないですが、歌手を目指していたなら歌を歌うとか、自分ができることを探すのもいいのではないかと思います。

友達が少なくてもいい 大切なのは子が好きなことを見つけること(森本)

森本 不登校の子は友達作りが苦手な子が多いということですが、「結」の会で相談を受けているお子さんも、ほとんどが友達を作るのが苦手です。100人中99人くらいは、人間関係が得意じゃないという子ですね。

 ただ、私が思うのは友達が100人いないとダメなの? ということです。私自身はたくさん友達がいることがいいことだ、人生の成功だという世間の風潮については、もう少し考え直さないといけない気がしています。

 「僕はひとりでいるほうが楽だ」という子がいても、それは悪いことではありません。友達がいないからあなたは社会でうまくいかないんだよ、ということではありません。

 先ほど、大人は子どものネガティブな部分を受け止めてあげてほしいという話がありましたけど、友達に関しても「あなたはひとりでいるのが楽なのだったら、それもいいわね」と受け止めてあげてほしいのです。そして、「だったら自分が好きなことを探してみようか」と一緒になって考えてみましょう。こうして、うまくいったケースも多々あります。


右から黒沢先生、斎さん、蟇田さん、森本さん、森さん、羽生

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