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共働きの防災とは? 震度6弱の大阪北部地震の教訓

山口照美/災害は時間を選ばない。「何時に災害が起きたらどうする?」という対策を、家庭と職場の両面でシミュレーションすることが必須

日経DUAL創刊時から、連載「ママ世代公募校長奮闘記」を執筆してきた大阪市立敷津小学校・元校長の山口照美さん。2016年4月からは公教育に関わる職務に就き、DUALでも「山口照美 20年後の未来を生きる力を育てよう!」で熱い言葉を届けてくれました。そして、2018年1月からは、大阪市生野区の区長として、子育て世代だからこその「まちづくり」を考えます。

* 本連載の最後のページには、《区長に質問!コーナー》があります。行政に対する素朴な疑問に山口さんが答えます。ぜひご覧ください。

 6月18日、月曜日の朝7時58分。朝ごはんをなかなか食べない子どもたちに声をかけつつ、私は出勤のため化粧をしていた。ガタガタッとテーブルが揺れ、揺れを追いかけるように携帯電話から地震警報が鳴った。瞬間的にイスを蹴っ飛ばしてテーブル下に息子を呼び込み、抱きしめながら揺れが収まるのを待った。まだ出勤前の夫が、娘と共にコタツ机の下に潜っているのを確認しながら。

 揺れが収まると、テレビで震度を確認し、防災担当者がつながるメッセンジャーのグループに「浪速区でマンション9階はかなり揺れました。皆さん、大丈夫でしたか?」というメッセージを投げ、各自の「JR止まりました」「近鉄止まっています」「自転車で行きます」などの報告を見ながら、マンションの階段を駆け下り、自転車に飛び乗った。娘は日曜参観の代休で学校は休みだ。夫の職場が児童デイサービスなので「お願い! 息子はあるなら保育園、娘は職場に連れていって一人にしないで!」と任せて出た。

 大阪市内で震度6弱。自動的に大阪市職員は「1号動員」がかかることになる。すべての職員が、交通機関が止まっていても、徒歩か自転車で、決められた場所に出勤する。車の使用は交通を混乱させるので、基本的には認められない。

職員が来ない! 出勤時間帯を地震が直撃

 地下鉄の駅から出されて戸惑う人々の波を縫って、区役所まで急ぐ。看板が落ちているところがある。自分の区に入るとスピードを緩め、まちの様子を見渡しながら走る。集会所の前に、地域の方が集まっていた。「大丈夫でしたか?」「これから町内を見回ります」「ありがとうございます! 何かあったら消防か区役所までお願いします」などと声をかけて、職場に入る。

災害対策本部に、区内の情報が集約される。壁の崩れなどは、消防署・警察署・区役所が連携し、素早く対応した

 7時58分に地震が起こり、8時7分には防災担当者により、既に災害対策本部が立ち上がっている。こういった災害時のために防災服と重い防災靴があるのだが、すっかり忘れて上着を脱ぎ、軽装で情報を集め、指示を出し、出勤人数を確かめた。

 「直近参集職員」と言って、大阪市の別の部署で働く近隣在住の職員は区役所に集まってくることとなる。それ以外は出勤時間に当たってしまい、たどり着けない職員が続出した。

 9時に、区役所の窓口が開く。大きな被害はない。待っている区民もいる。通常業務は走りだした。一方で区長応接室を災害対策本部とし、危機管理室や消防・警察などの諸機関、学校、地域などの情報を集約してつなぐ。日ごろから熱心な防災担当チームが、臨機応変に対応してくれた。

 ただ、大きな被害がなかったから通常業務と並行できただけで、反省点はある。訓練通り、想定通りにはいかないことがボロボロ出てきた。

 別の地域では亡くなられた方もおられ、ニュースを目にして悔しさで泣きそうになった。老朽家屋、古い水道管など、公的施設やインフラの課題も浮き彫りになった。

 現在も、地震対応の振り返りをしながら次に備えた対策を進めている。

 その中で、大きなポイントになるのが「共働きの防災」だ。

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