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中学・高校生 家事やアルバイトで金融経済を理解

『「おカネの天才」の育て方』(3)ベビーシッター、庭掃除…仕事を引き受けるときには適正な値段を要求する

 大事なことだけど、親子だからといって突っ込んだ話はしにくい「おカネの話」。金銭感覚をきちんと身に付けて賢くお金と付き合える子どもを育てるために、親はどうしたらよいのでしょう。米ニューヨーク・タイムズ紙でベストセラーリスト入りした邦訳『「おカネの天才」の育て方』(以下「おカネの天才」)から、親が子どもに伝えるべき内容を年齢層別にピックアップしてお伝えします。第3回は、「中高生」が家事やアルバイトを金融経済の理解に生かすためのアドバイスをお届けします。

(1) 小学校入学前に貯金の習慣を身に付けさせるには?
(2) 小学生時代はお小遣い制で金銭感覚を磨く
(3) 中学・高校生 家事やアルバイトで金融経済を理解  ←今回はココ

 連載第1回は未就学児が貯金する習慣を身に付けるのに役立つアドバイス、第2回は小学生がお小遣い制で金銭感覚を磨くためのアドバイスを紹介した。今回は、中学・高校生を対象に、家事やアルバイトを金融経済の理解に生かすためのアドバイスを取り上げる。

 「おカネの天才」によれば、米国では中高生になると、家事やアルバイトの機会を、金融経済の知識を学ぶための機会と捉えている。小学生よりも責任のある仕事ができるようになるからこそ、労働市場の基本的な概念である需要と供給を理解するのによい機会になるという。さらには、以下で紹介するように、中学生のときから自らの仕事に適正な対価を求めるよう教えている。

 翻って、日本ではどうか。調査結果によると、「価格は需要と供給によって決定される」の○×を問う設問に対して、正答できた中学生は38.1%だった(金融広報中央委員会2015年度「子どものくらしとお金に関する調査」)。需要と供給の関係をきちんと理解しているとは言い難いのが実情のようだ

日本の中高生に金融経済に関連する質問をした場合の正答率。金融広報中央委員会2015年度「子どものくらしとお金に関する調査」を基に作成

 では、米国ではどのようにして家事やアルバイトを金融経済に関連づけて中高生に伝えているのか。「おカネの天才」から紹介しよう。

■仕事を引き受けるときには適正な値段を要求する

 友人の姪は、中学1年生で初めてベビーシッターのアルバイトをしたときに私があげたアドバイスをまだ覚えていると言う。赤ちゃんのお母さんがアルバイト代を尋ねたら、「いくらでもかまいません。かわいい赤ちゃんと一緒にいられるだけで嬉しいです」と答えたらいいと、私は勧めた。それが礼儀だと思ったし、そのお母さんがぼったくるなんてことはないからと姪っ子に確約した。

 大間違いだった。支払いになると、そのお母さんはこう言った。「そう、大丈夫? ありがとう! 助かったわ」。そして一銭も払わなかった。苦い教訓だ。物分かりがいいのはいいことだけど、子供だからと言ってきちんとした仕事の対価を値切るのは間違っている。

 適正な料金を調べる手伝いをしてあげよう。ベビーシッターであれ、庭掃除であれ、ご近所のお年寄りにソーシャルメディアの使い方を教えてあげることであれ、オンラインで家系図の調査をしてあげることであれ。友達がいくらもらっているかを子供に調べさせよう。そして、料金を聞かれたら、丁寧に、でもはっきりと値段を伝える準備をさせておこう。

 それはまた、労働市場の基本的な概念を説明するいい機会にもなる。もし子守をしているほかの友達たちより高い料金を求めたら、たとえばみんなが時給10ドルなのに20ドル欲しいと言ったら、おそらくその仕事は友達にいくだろう。もし料金が低すぎたら(たとえば、時給5ドルなら)、自分を安売りしていることになる。

(『「おカネの天才」の育て方』P95~96)

■最低賃金を理解する

 ちょっとしたクイズを出そう。アメリカの最低賃金をご存じだろうか。今この時点では時給7ドル25セントだ(それより高い州もある。たとえばマサチューセッツでは11ドルだ)。なぜ気にするのかって? まず、アメリカでは人々を貧困から救い出すため、1938年に最低賃金の制度を導入した(当時は時給25セントだった!)ことを子供に知ってほしいからだ。それに、今アメリカではおよそ300万人の人が時給7ドル25セント以下で働いていることも、知っておいてほしい(※1)。

※1 “Characteristics of Minimum Wage Workers, 2014,” BLS Reports, Report 1054, April 2015.

 では計算してみよう。もし最低賃金で週に40時間働いたら、年収はおよそ1万4500ドルだ。それでは、政府の認める、子供のいる親が貧困から抜け出せる金額には届かない。このことだけでも、子供に現代の課題を教えるいいきっかけになる。最低賃金を上げると何がいいのか? 雇用者がそれに反対するのはなぜか? どの解決策が正しいのか? 高校の公民の授業のような議論をする必要はないが、この問題に触れる価値はある。なぜなら、子供に直接影響するからだ。

 最低賃金は、すべての人に当てはまるわけでも、すべての仕事に当てはまるわけでもない。学生、子供、ウェイターやウェイトレスのようなチップを受け取るような仕事に就く人は、時給7ドル25セントももらえないこともある。実際、ウェイターの最低賃金は2ドル13セントだ(だから、いいサービスに気前よくチップをはずむのは大切なのだ)。そして20歳未満の若者には、雇用者は最初の3か月間は4ドル25セントしか払わなくていい。ただし、そのあとは少なくとも最低賃金を支払うことが義務づけられている。

(『「おカネの天才」の育て方』P97~98)

■高校生がアルバイトをするときのルール

 もし、高校生の子供がアルバイトをする場合には、絶対に従うべきルールがいくつかある。

【ルール1】 学期中は、週末も含めて週に15時間以上働いてはいけない

 それを超えると、成績が落ちる(※2)。週に15時間以上働いている生徒は、大学に入学して学位を取れる可能性がはるかに低くなる。また高校を退学する可能性も高くなることが、研究で明らかになっている(※3)。もし子供がもっと働きたければ、夏休みに働くべきだ。

※2 Jerald G. Bachman, Patrick M. O’Malley, Peter Freedman-Doan, and Jeremy Staff, “Adolescent Work Intensity, School Performance, and Substance Use: Links Vary by Race/Ethnicity and Socioeconomic Status,” Developmental Psychology, vol. 49, no. 11, 2013,pp. 2,125-2,134. Kalenkoski and Wulff Pabilonia, “Time to Work or Time to Play.” Jeremy Staff, John E. Schulenberg, and Jerald G. Bachman, “Adolescent Work Intensity, School Performance, and Academic Engagement,” Sociology of Education, vol. 83, no. 3, July 2010, pp. 183-200.

※3 John Robert Warren and Emily Forrest Cataldi, “A Historical Perspective on High School Students’ Paid Employment and Its Association with High School Dropout,” Sociological Forum, vol. 21, no. 1, March 2006, pp. 113-143. Ralph B. McNeal, Jr., “Labor Market Effects on Dropping Out of High School: Variation by Gender, Race, and Employment Status,” Youth & Society, vol. 43, no. 1, 2011, pp. 305-332.

【ルール2】 学業を優先させる

 当たり前に思えるかもしれないが、たとえば子供のアルバイト先のスーパーの主任が、人手が足りないからといって、期末試験中に学校のことなど考えず、長時間のアルバイトを頼んでくることもある。子供は大人に対して物を言うことに慣れていないので、親が目を光らせて、アルバイトが大切なテストや学校生活の妨げになっていないかを確認した方がいい。

【ルール3】 仕事の経験を履歴として使う

 もし子供が職場で特に役立つことをしていたら、上司に大学の推薦状を書いてもらえないか聞いてみるよう子供に勧めよう。実社会の体験を重んじる大学もあるし、具体的な事例があれば役に立つ。たとえば、靴屋の棚卸を完全に自動化したとか、新しい顧客サービスアンケートを行って、売上増に貢献したといった例だ。

(『「おカネの天才」の育て方』P104~106)

「おカネの天才」の育て方

 子どもに賢いおカネの習慣と金銭感覚を身に付けさせるために、「おカネの使い方」「貯金」「借金」「保険」「投資」「学費」「社会への還元」などについて、子どもの年齢層に応じたアドバイスを、オバマ政権の金融教育諮問委員を務めたパーソナル・ファイナンスの専門家が伝授します。

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