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弁護士が解説「副業は違法ではありません」

(上)副業を禁じるのは日本企業の慣行にすぎない。やり方さえ間違えなければ、副業は法的に可能

2018年2月実施の「共働き家庭の家計(レジャー費、住宅ローン、教育費等)についてのアンケート」(DUAL特集「気になる! 隣のデュアルの家計事情」)によると、回答者(80.7%が正社員)の31.9%が「本業以外の収入がある」と回答し、その内訳として24.5%が「副業等による収入」という項目を選択していました。生活費や教育費など、出費のかさむ子育て中・共働き世帯にとり、“副業”は意外と身近な存在のようです。さて、この副業は、法的に問題がないものなのか? 専門の弁護士に詳しく伺いました。上・中・下の3本を掲載します。

労働時間以外の時間をどのように利用するかは労働者の自由

「副業禁止とは使用者が労働者のプライベートを支配するような話であり、使用者はそのようなことはできません」(弁護士の荒井太一さん)

日経DUAL編集部(以後、――) 荒井さんは「副業はそもそも違法ではない」というお考えですね。詳しく教えてください。

荒井太一さん(以後、荒井) 労働契約の本質的な内容は「労働時間の提供と賃金の支払い」になります。逆に言えば、労働時間以外の時間をどのように利用するかは労働者の自由ですから、何か制約を課すことは当然できません。

 もちろん当事者が特別に合意すればそういった制約も可能になり得るわけですが、その特別な事情というのはすべて認められるわけではありません。副業に関して、「副業してはいけない」と制約を課す合理的な理由がないと禁止できません。ですから、漫然と一律に「副業を禁止する」という契約上の定めは無効だといえます。これは昔から裁判所も言っていることです。

 要するに、副業禁止とは使用者が労働者のプライベートを支配するような話であり、原則としては使用者はそのような制約はできません。裁判所もこれまでも一貫してこの趣旨の判決を出しており、基本的には副業を一律に禁止することはできないとされてきました。しかし、実態としては、日本企業の慣行として就業規則に「副業はダメ」といった条項を盛り込んでいるのが一般的で、従来これを誰も疑わなかった。この状態が今に至るまでずっと続いてきたわけです。

―― 就業規則に盛り込まれている「副業を禁止する」という条項は、法的に言うと、守らなくても問題ないのでしょうか?

荒井 就業規則は、内容が合理的なものについては当然守らなければいけないのですが、就業規則に書けばすべてが有効になるというわけではありません。書かれている内容が法的に有効かどうかは、最終的には裁判所が判断します。過去に裁判所で争われたいくつかの案件では、「副業を一律禁止する」という内容は無効で、合理的な理由があるときにだけ、その範囲でのみ有効である、ということが繰り返し言われています。

 私は、2017年10月に厚生労働省が立ち上げた「柔軟な働き方に関する検討会」の委員でもあります。検討会では、副業を解禁・促進するための議論も行われ、既に報告書も出しています。その議論の過程では過去の裁判例も検討されました。

 例えば、運送会社の運転手が年に数回、貨物運送のアルバイトを副業として行ったため解雇されたという事例があります。その方はそれほど頻繁には副業をしていたわけではなく、本業に影響がないため解雇は無効である、と判断されています。また、大学の先生が副業で通訳をやっていたというケースもあります。この場合も、学校の授業に影響を及ぼすものではない、という判断が下されています。また、検討会の資料には含まれていませんが、タクシー運転手が副業で新聞配達を行っていた、という事案も解雇が無効とされていますね。

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