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フランスの“ガラスの天井”の正体は男性の偏見

フランスで女性活躍を推進する男女二人のインタビュー後編。社会を変えていく具体的なアイデア、そして日本のイメージとは

 フランスにおける女性の社会進出問題に取り組むジュリア・ムゾンさんとアントワヌ・ド・ガブリエリさんのインタビュー後編です。

 前編では、女性のキャリア実現において何が障害になっているのかという話に触れ、女性の問題として片付けるのではなく、企業のルールや働き方を変えるべきだという指摘がなされました。

 今回の後編では、さらに踏み込んで、「企業のルールをどのように変えるべきなのか」を聞いていきます。男性管理職500人からなる団体を組織して問題に取り組んでいるガブリエリさんによると、「変革の鍵は男性にある」とのこと。また、変化を起こすことは、男女両方にとってメリットがあるといいます。一体、どういうことなのでしょうか。

前編:フランスも男性優位の“上から目線”社会だった
後編:フランスの“ガラスの天井”の正体は男性の偏見 ←今回はココ!

現状を変えることができるのは男性

日経DUAL編集部(以下、――) ガブリエリさんは、「Happy Men Share More」(ハッピーメン・シェアモア)という男性管理職のネットワークを作り、職場におけるジェンダー平等に取り組んでいます。なぜ男性管理職の組織を作ったのですか。

アントワヌ・ド・ガブリエリさん(以下、敬称略) 理由は二つあります。一つ目は、フランスの経営者や経営のボードメンバーはほぼ男性であること。企業の状況を変えたいと思ったら、変えることができる立場の男性に向かって語りかける必要があるからです。二つ目は、男性こそがこの問題をわが事だと思って取り組む必要があるから。女性に対して「職場におけるガラスの天井の要因は何か」というアンケート調査を行ったら、最も多かった回答は「男性の偏見」でした。2番目が「マネジメント」で、3番目が「妊娠」です。ガラスの天井を構成しているのは男性の偏見なのに、女性だけの問題だと捉えていては、前に進みません。

 フランスの企業では10年ほど前から、“女性を助ける取り組み”ばかりやってきました。社会の規範に合うように女性を助けなければいけない、と考えてきたのです。しかし本当は違います。企業のルールのほうが問題で、そちらを変えるべきなのです。職場における男女平等について企業が目標を掲げるのは良いことですが、目標達成のためのメソッドが正しいのかどうかにも、注意を払わなければなりません。働き方の改革は、男性も含めて、全体で取り組む必要があるのです。

出典:Happy Men Share More

―― 具体的には、企業のルールをどのように変える必要がありますか。

ガブリエリ 女性が仕事で能力を発揮するためには、男性が家事・育児にもっと積極的になることが必要不可欠です。だから企業は、これまでの「家に専業主婦がいる男性」を前提とした昇進のあり方を改め、男性が仕事と家庭を両立できるような仕組みを作らなければなりません。そして単に「早く帰ってもいい」とするだけでは不十分で、高いポジションにある男性たちが率先してモデルになることが重要です。例えばある経営者は、夜遅くまで会社に残る風土を変えるため、社員にこう宣言しました。「18時以降会社に残っていたからといって、そのことを私は評価しません」と。

 フランス人男性は、たとえもっと家庭に時間を使いたいと思っていても、「どうせ会社が受け入れてくれないだろう」と思って自己規制を行ってしまうのです。家庭に割く時間が欲しいと企業に主張すること自体が難しい。「自分のイメージが悪くなるのでは」という恐れも抱いています。だから、立場が上の人から部下にそれを促す必要があるのです。「上の人から言われたから」という理由があれば、行動に移しやすいですから。

ジュリア・ムゾンさん(以下、敬称略) それに、「長時間働くとパフォーマンスの質は悪くなる」ということは広く知られていることですよね。夜遅くまで仕事をしている人に対して、「夜は仕事をやめて、文化活動や人との交流に時間を使いなさい」と指示したリーダーもいます。

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