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小島慶子 組織の理不尽さに子が巻き込まれる前に

子育て・教育

小島慶子 組織の理不尽さに子が巻き込まれる前に

日大アメフト部のタックル事件で考えた。人が本当に鍛えるべきはどんな力か

 日大アメリカンフットボール部の一件で、あれは自分だったかもしれないと日大の選手にわが身を重ねた人は少なくないだろう。中高の部活で、大学の体育会で、あるいは今も職場で、あんな目に遭っている人はいる。NOと言えないところまで追い詰められて、問題が発覚しても責任者はのらりくらりとひとごとのような言い分で、自分だけが詰め腹を切らされる。同僚がそうやって消えていくのを見た人もいるはずだ

世の中はそういうものだと教えるしかないのか

 試しに、オーストラリアでチームスポーツをやっている高1の長男に聞いてみた。もし君が強豪チームのレギュラー選手で、試合に出たいなら相手チームの選手にケガをさせろと言われたらどうする? 「うーん、難しいな」としばらく悩んで彼は言った。「もしほんとに僕が強い選手なら、他のチームでも欲しがるだろうから、よそに移る」

 彼は地域のリーグでのんびりプレーしているだけなので、もちろん日大の学生が置かれた状況とは全然違う。だけど本来スポーツは、人生を豊かにするためのものであるはずだ。人生を台無しにするためのものじゃない。他にも道はあるさ、と思えなくなるような心理状態に、学生を追い込んではいけない

 だけど実際、他に逃げ場なんてあるのだろうか。

 「そういうものなのだ」と私たちは子どもに教えるしかないのだろうか。どれほど理不尽でも、世の中はそういうものなのだ、声を上げるだけ無駄なのだと。組織に属するということは全体の利益のためにわが身を捧げることであり、どれほど間違った指示であっても、上長に従うのが組織人の使命なのだと。

 あるいはそんな惨めな一兵卒にならないように、幼いころから社会のメインストリームを歩み、学歴と人脈というファストパスを使って確実に勝ち組になれと言い聞かせればいいのだろうか。捨て駒にされる人々の側ではなく、わが子を何とかあちら側に……特権を手にできる安全圏に入れるべく、熱心に教育に投資している親もいると思う。

 だけど残念ながら多くの人は、特等席の切符にはありつけない。そして、たとえ自分の子どもを楽園行きの最終列車に押し込むことに成功しても、その列車の行く先に荒野が広がっているとしたら?

去年次男が思春期に入ってからは、くだらない小競り合いが多くなっていた兄弟。中1と高1になってからは落ち着きを見せ、久々に並んでゲームしているのを発見。長男はもうシングルベッドからはみ出してます
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