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小島慶子 40過ぎてADHDと診断され自分知った

子育て・教育

小島慶子 40過ぎてADHDと診断され自分知った

発達障害を今は、むしろギフトと思える。わが子が「定型」とされる何かからズレていても、恐れないで

普通の人がオートマ運転なら、私はマニュアル運転

 喋ったり書いたりすることが仕事になったのは、過剰な言葉に押し流されまいとなんとか調教を試みた結果だ。議論の進行やインタビューには、人の気持ちを推し量ることが下手くそだったがために、よく聞いて整理する癖が役立った。人を笑わせたり、退屈させないように話したりすることができるのは、間が悪くてそつなく話すことができないという不全感を抱えてきたからだ。だから、今はこの特徴をわりと気に入っている。専門家が名付ければこれは「軽度のADHD」なのだけど、私にとっては極めて個人的な、目の形や鼻の形と同じように一回きりの生を付与された身体のありようそのものである。だから、私は自分の障害のことしかわからない。たとえ同じ診断名をつけられた人がいても、同じ障害ではない。身体が違うから。つまり脳みそが違うから。だからこれを読んで、すべてのADHDの人が同じように感じていると思わないでほしい。

 私の友人に村上由美さんという人がいる。彼女は自閉症スペクトラム障害(ASD)当事者で、言語聴覚士でもある。『アスペルガーの館』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』『ことばの発達が気になる子どもの相談室』などの著書があり、メディア出演もしている。今まで私は彼女と話したりメールでやりとりしたりしていて違和感を覚えたことが一切ない。彼女は幼い頃に自分の障害を知り、母親の厳しい療育の下で自ら学び、障害を持たない人とのコミュニケーションを成立させる工夫を重ねた。それが、言葉によるコミュニケーションや嚥下に支障がある人にトレーニングやアドバイスを行う医療関係の専門職である今の仕事につながっている。

 彼女がこんな話をしてくれた。「普通の人がオートマ運転だとすると、私はマニュアル運転。他の人が見たらパッとわかるものを、私はいちいちギアを入れ替えながら理解していくという違いなの」。これはものすごく腑に落ちた。彼女の実感とは違うかもしれないけど、まさに私もそうやって生きてきたから。というか、みんなそうなのだと思っていた。

他人がいちいち考えない細かいことを考えている

 例えば私の場合は、こういうこと。会議の途中で会議室に入ると、たいていの人はすぐに隅っこに着席し、振られない限りは喋らない。私もそのようにするのだけれど、そこに至るまでに「えーと、今喋っているのはどうやら偉い人のようだな。で、聞いている人は偉い人の話にさして興味がないけど興味があるフリをしていて、今よそ者が部屋に入ってきたのに気がついたようだ。どうも、こっちが気になるけど偉い人が喋っているから見ないようにしているみたいだな。ということはここで私が下手に挨拶などしようものなら、みんなの邪魔になるに違いない。ではここはおとなしく片隅に座って黙っていよう、よし、黙っているぞ、いいぞ、黙っているぞ、私は今黙っている!」てな感じだ。

 つまり頭の中で指さし確認しながらずーーーっと喋っている。油断するとそれがダダ漏れになるから脳みその見張りを怠らないようにしないといけない。

 そうする間にも誰かがペンをカチカチやる音が気になってしまい、誰がやっているのかを突き止めたくなってキョロキョロし、話に飽きてきて足を何度も組み替え、窓の外を眺めてどうでもいいことを考えて、一刻も早く帰りたいと願いながら指をくるくるさせたり、喋っている人がゴールデンタマリンという小動物に似ていることを発見して誰かに言いたくなって悶絶し、他に何タマリンがいたかどうしても気になってスマホで検索してしまい、ゴールデンタマリンじゃなくてゴールデンライオンタマリンだった!と発見して思わず「あ、ライオンが入るのか」と呟いたところを聞きとがめられて全員に白眼視される、といった具合だ。あげ句、ちょっと意見を言ってもいいですかと余計な発言を始めたりする。

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