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「月15万あれば娘と暮らせる」と挑戦を恐れない

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「月15万あれば娘と暮らせる」と挑戦を恐れない

「ココナッツオイル輸入」ブラウンシュガーファースト荻野みどりさん(下)ココナッツオイルの一大ブーム後に学んだもの

 起業するまでの経緯や仕事と家庭の両立についてなど、多くの壁を乗り越えてきたママ起業家や社長にインタビューする「私が壁を乗り越えたとき」。第11回は、株式会社ブラウンシュガーファースト代表取締役の荻野みどりさんを紹介します。

 荻野さんは、1児の子育てをしながら「わが子に食べさせたいかどうか?」を基準に食材を厳選する食品会社を経営しています。一大ブームを巻き起こしたココナッツオイルの輸入販売をはじめ、子どもに安心して与えられ、美味しくて食卓を楽しくする食材を提供しています。

 前編の「荻野みどり 4つの大学、寄り道し自分を掘り下げた」に続き、今回は出産をきっかけに起業に至るまでの経緯、社長業との両立について紹介します。

震災の年に出産。娘の便秘をきっかけに、手作り菓子の販売を思いつく

 アパレルでフリーランスとして働いているときに結婚し、妊娠した荻野さん。2011年の5月に長女を出産した後、すぐに仕事を再開しました。

 「結婚当時からお財布は別、と思っていました。夫に依存したくなかったので、夫の給料も知らなかったです。そのため、出産後もまずは自分で稼がなきゃいけない、と思いました。夜授乳をしながらiPhoneでヤフオクをチェックして古着を落札するんです。それを、昼間ベビーカーを押しながら古着屋さんに売りに行くということをして、月10万円くらい稼いでいました。アパレルで働いていたので目利きができるし、いいものに見せる方法も知っていました」

 産後4カ月くらいのころ、赤ちゃんが2週間便秘をしたことをきっかけに、食の大切さについて改めて考え始めました。

 「完全母乳で育てていたのですが、私が甘いものをたくさん食べていたら娘が突然便秘になったり、湿疹が出たりして。原因は私だと思いました。母乳だけで1人の人間がどんどん大きくなっていく。食べたもので人間はできていく、というのをものすごく実感しました

 「タイミングもちょうど東日本大震災の直後で、東京でこの子に何を食べさせていけばいいのだろうと、食に対する不安が大きい時期でした。そこで、ウーピーパイというアメリカのお母さんが作る伝統菓子を売ろうと思いつきました。ウーピーとは子どもの『やったー』という声で、シンプルな素材を使って作ります。お母さんの手づくりで子どもが喜ぶ、というのがすごくいいなと。そのときから既に、わが子に食べさせたいかどうかを基準に食材を厳選したいと思い、起業してからもずっとその理念を通しています」

 そこで、2011年9月に手づくりの菓子店として「ブラウンシュガーファースト」を創業。実際にお菓子を作るのは菓子教室を主宰する実家の母に依頼し、自分はコンセプトを考え、レシピを書いて味をチェックし、値付けして販売するのを担当しました。

 「『私が作った自慢の商品を食べて!』というきっかけでお菓子を売り始める人が多いですが、私は自分で作らないお菓子屋さんなんです。お菓子作りは、母や母のネットワークでバザーでお菓子を作っているママチーム、障害者福祉施設に依頼。私は娘をおんぶしながら青山ファーマーズマーケットで販売を始めました」

荻野みどり
株式会社ブラウンシュガーファースト代表取締役
福岡県出身。東京都在住。2011年第一子を出産。娘が4カ月のときに母とお菓子ブランド“BROWN SUGAR 1ST.”を立ち上げ。「わが子に食べさせたいかどうか?」を基準に食材を厳選したお菓子屋さんとして創業。地元福岡の障がい者福祉施設やママたちにお菓子を作ってもらい、東京・青山の国連大学前のファーマーズマーケットで娘をおんぶして販売をスタート。製造・販売する中で、原材料としての油脂選びの大切さに気づき、バターやマーガリン、ショートニングに代わる油としてココナッツオイルに出合い、2013年に思い切って株式会社として法人登記し、輸入・卸をスタート、現在に至る。

失うものは何もないから、一歩踏み出すことができる

 子どもは待機児童で保育園に預けることができず、授乳をしながらとにかくがむしゃらに働き始めました。そんな矢先、友人の死をきっかけに、さらに前に進もうと決意します。

 「ある日突然、友人が事故でぽっと死んでしまって。そのときに、明日は来ないかもしれない、と感じたんです。やりたいことがあるなら今やらないでどうするの? 先延ばしにする必要がないよね、と。それに信用も財産も持っていないから、失うものもないんですよ。たまたま当時の夫も起業して間もないタイミングだったこともあり、やりたいことがあるなら一歩踏み出さなきゃいけない、と強く思いました」

 自分たちが作るお菓子を多くの人に届けたいと思い、その場ですぐにオーガニック食品を取り扱うナチュラルローソンに電話。サンプルを送り、何度かフォローの電話を重ねた結果、ナチュラルローソンの部長を含めた関係者5人と会う機会をもらって、無事に商談が成立しました。

 「今思うと、食品流通は問屋を通さなければならず、参入しにくいんです。でも『ナチュラルローソンに何としてでも私の商品を置かなければいけない』という思いが先行していました。思いが通じて、当時はまだ個人事業主だったのにもかかわらず、一気にナチュラルローソンの全店舗で展開することになりました」

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ママ社長・起業家 「私が壁を乗り越えたとき」

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