パパはMBAよりマネジメント力を磨けるPTA会長を
(6)地域の戦略編 地域活動はワンダーランド
子育て期間限定「プロジェクトX」を楽しむ
「子育て」ではなくて、「子育ち」という感覚でいることが大切です。子育てと言うと、パパやママが主語になってしまいますが、主役はあくまでも子どもです。子どもがどう育つのかということでやっていくことが本当の子育て。子どもが主語だから、子育ちのほうがいいわけです。
だとすると、子どもの子育ちにとって、より良い環境をつくっていくことが親の最大の仕事ですし、そのためには、まずはママが笑顔でいることが一番です。だからこそ、ママへのケア、つまり、間接育児という役割をもう一度、パパは考えてみるといいでしょう。家庭におけるパパの重要なタスクを見直してもらえるといいのかなって思いますね。
そして、もう一つ大事にしてほしいのは、子どもの幸せです。子どもの幸せを願わない親っていないじゃないですか。なのに、家庭でのエラーが起きてしまうのは、その多くは親が悪いのではなく、社会システムが良くないからです。
そこには、経済的な問題もあれば、保育園不足の問題、パパを職場に縛り付けてしまう労働環境の問題などもあります。この日本で暮らす人たちのクオリティー・オブ・ライフを高めていけるような生活環境ですとか、労働環境をもっとみんなで考え、実践しながら変えていかないと、笑っているパパもなかなか増えていかないでしょう。
しかも、子どもというのは想像以上にあっという間に育ってしまいます。あのときやっておけば良かったと後悔しても、後の祭りです。だからこそ、特に子育て期間の人生戦略を考えるときには後悔しないようにポジティブにやってみてほしい。パパにとって、子育て期間限定の「プロジェクトX」なんです。重要な事業プロジェクトを成し遂げるといった感覚で楽しんでほしいですね。
最後にもう一つだけ。パパが育休を取得することは“静かなる革命”であると、僕はよく言っています。色々と障壁はあるにしても、取得できるパパが増えることで社会を変えていくことができるからです。なるべく多くのパパたちに、その静かなる革命の一翼を担うようになっていただきたいと思います。
最終的には、イクメンとかイクボスといった言葉が当たり前になって、言葉そのものが無くなっていく。FJもパパたちの背中を後押しする必要も無くなり解散する。そんな時代がいつになるのか分かりせんが、やってくるでしょう。そうなったとき、笑っているパパとママが増えているだろうし、きっと、子どもの笑顔も増えていることでしょう。
(取材・文/國尾一樹)

安藤 哲也
NPO法人ファザーリング・ジャパン創設者。明治大学卒業後、出版社、楽天グループなどを経てNPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)を立ち上げ、代表を務める。社会的養護の拡充と児童虐待の根絶をめざすNPO法人タイガーマスク基金の代表も兼務。保育園、学童クラブの父母会長、小学校のPTA会長を務めるほか、パパ’s絵本プロジェクトのメンバーとして、パパの出張絵本おはなし会で全国を飛び回る。各メディアでも活躍。近著に『できるリーダーはなぜメールが短いのか』(青春出版社)、ほかに『パパの極意~仕事も育児も楽しむ生き方』(NHK出版)、『絵本であそぼ!』(小学館)、『パパ1年生』(かんき出版)など。「パパ’s絵本プロジェクト」メンバー、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム座長、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員、子育て応援とうきょう会議実行委員、にっぽん子育て応援団団長。3児の父。
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