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仲道郁代 厳しさを乗り越えて見える景色もある

子育て・教育

仲道郁代 厳しさを乗り越えて見える景色もある

ピアニストの仲道郁代さん(下)「ピアノ、子どもが早い時期に好きじゃないと決め付けるのはもったいないですよ」

社会の中でできること

 被災地の訪問のほかにも、音楽をより多くの人に届ける活動に力を入れています。「私たちが生きている社会の中にピアノがあり、社会の中に演奏家が生きています。社会の中に生きるクラシック音楽を提示したい。クラシック音楽はある特定の人だけが享受するものではありません。クラシック音楽が持つ、不安定な心の定位置を見つけられるような作用や、我を忘れる素晴らしい瞬間を持てることを知ってほしい。音楽は理屈でなく心を動かすものです」

 仲道さんが芸術監督・監修を務める「音楽がヒラク未来」という公共ホールのフォーラムの報告会が3月2日、東京文化会館で開かれ、私はその中のワークショップを取材しました。この日は20人が参加。ダンサーが導きつつ、仲道さんのピアノに合わせて参加者が体を動かしたり、演奏を聞いたり、ぜいたくな時間でした。

 子ども向けの会も続けています。「娘が3歳のとき、小さな子どもも興味津々に座って音楽を聴けると分かり、3歳から入れるコンサートを始めました。感性がフレッシュで何でも受け止める時期に生の音を聴いてほしいから」。前半は音楽への想像力をかき立てる絵やお話、後半は仲道さんが子どもたちに語りかけながらピアノを弾きます。子どもたちがかわいらしくて、いつも楽しみだそう。

アメリカで思春期、多様性を肌で感じた

 ワークショップをしたり、被災地に行ったり「珍しいタイプのピアニスト」「社会的」と言われるのは、多感な中高の時期を父の仕事の都合でアメリカで過ごしたことが大きいといいます。「アメリカで、大人は社会のために貢献するのが当たり前、という文化を見ました。音楽によって肌の色の違う人がつながる。そういう社会が私を受け止めてくれました。人前で弾くのが楽しかったです」

 進路を考えて自分だけ帰国し、桐朋女子高の音楽科へ。「みんなが演奏家になれるわけではない」と言われ、職業としてのピアニストの厳しさを知りました。毎朝5時に登校して練習。大学1年のときにコンクールで優勝、ピアニストと呼ばれるようになりました。その後、ドイツに留学。「クラシック音楽は喜怒哀楽と密接に結びついていました。教会の中にクラシック音楽があった。生死を考えることとクラシックの根源は同じで、人の源にクラシック音楽がある」と強く感じました。

 さらに様々な国で演奏してきた中でも、アメリカは好きといいます。「アメリカは意識しないと社会が成り立たない文化だと思います。目が合ったらハイと言う。エレベーターやレジでおしゃべりする。敵意はないよ、と示すんですね。それは表面的かもしれないけれど、みんなが努力して作っている。人と社会を意識し、つながりを考える国でした」

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