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「収入がある=心の安定」に気がついた専業主婦時代

(中)“食う・寝る・働く”がまともにできない育児生活のなかで、働く夫が羨ましかった

 子どもが生まれるまでは、仕事に目いっぱい没頭できた。産休・育休中は、育児に専念することができた。それが……いざ仕事復帰をすると、仕事と育児の両方が日々降り掛かってくる。時間は同じ、一日24時間。どちらも大事、どちらも最優先。そんなとき、皆さんは何を選び、何を諦めているのでしょうか。

 バリバリでもゆるゆるでもない働き方のワーママに、リアルな体験、心の内を語ってもらいます。今回は拡大版として、全3回に分け、夫の転勤を機に退職、東京から新潟に移住して子育てをしつつ、葛藤しながら再び働くことを始めた、野澤知子さんを取り上げます。

(上)夫の仕事で地方移住、出産「幸せな不自由」を得て
(中)「収入がある=心の安定」に気がついた専業主婦時代 ←今回はココ!
(下)転勤族ママの共働きデビュー「働くこと、もうやめない」

ジワジワ痛感した“収入ゼロ”という経験

 第1話では結婚・出産・育児で手に入れた“幸せな不自由”について書きましたが、育児に奮闘するうちに自分の中に新たな不安が生まれました。それは“自分の収入が無い”という初めての経験です。もちろん最初から分かっていたのですが、頭で理解するのと実際に経験するのではギャップがありました。

 結婚後、仕事をやめて専業主婦になった私は娘と外出し、街を散策しながらランチをしたり子ども服やキッチン雑貨などを買いそろえたりする日々。よく聞く「お小遣い制」や「家計簿」という単語自体にピンとこないまま専業主婦になったので、夫に任されていたものの、こうした生活費以外の買い物はとりあえず自分の貯金を使って過ごしていました。当初はママ友もおらず家の中にばかりいても息が詰まるので、ショッピングが唯一のストレス発散になっていたというのもあります。平日にのんびり買い物ができることもかなり新鮮でした。

 そしてある日、ATMの前で「残高は減るけれど、もう増えることはないんだ…」と立ち尽くす私(遅)。

 ようやく世の中の専業主婦がいかに家計をやりくりしているのか興味が湧き、自分を見直すきっかけに。まだまだやりくり下手ですが、お金の大切さを感じられるのは専業主婦の経験があったからです。その後、夫と話し合い仕切り直すことができましたが…、もともとドンブリ勘定とはいえもう少しお金の勉強をしておくべきでした。

「仕事(収入)がある=心の安定」に気がついた

 家計のやりくりが解決しても育児と家事だけの生活にモヤモヤを感じる日々が続きました。家族という新しい幸せを得てみても、外で働くことをやめたら気持ちのバランスを欠いてしまったのです。それくらい、仕事があるということが自分を安定させていました。

 こんなことを思い出しました。新潟に来て半年が経ったころ、子育て支援センターや市の育児支援プログラム「ゆりかご学級」を通じて地元のママ、転勤のママどちらにも出会うことができたのですが、あるとき、一人の転勤ママ友が言った『独身時代の貯金を切り崩してお小遣いにしているのって、地味にストレスだよね』という言葉を今でも覚えています。“私だけじゃなかったんだ”という少しの安心感と、なんとももどかしい気持ちに。

 結婚して家庭に入っても、妻にだって独身時代からの付き合いもあれば冠婚葬祭もあるし、ギフトのやり取りや女性ならではの身だしなみ、リフレッシュ方法があるもの。落ち着いて考えれば、夫にもそれは言えることなので決して不公平な話ではないのですが、出会ったママ友はきちんと働いてから結婚した女性ばかりなので、収入にかかわらずそれらのすべてを夫の収入で賄うこと自体に抵抗があったのかもしれません。

 そもそも独身時代に“お小遣い”は無縁。私も夫が一生懸命稼いだお金を、例えば自分のリフレッシュのために使わせてほしいなんて、申し訳なくてとても言い出すことができませんでした。暮らしを保証してくれる夫に感謝しつつも、働いていないことが劣等感となり、いざとなれば対等なはずの夫婦関係にまで影響を及ぼすのではないかとソワソワしてみたり。この思考のマイナーチェンジのしくじりが尾を引くことになります。

 朝、夫を見送って振り返れば0歳の長女と2人きりの1日が始まります。小さな長女との時間は濃密でとても幸せなものでしたが、特に0〜1歳は言葉も常識も通用しない、まるで宇宙人のような存在。夜は2時間おきに目覚める長女を抱きながら夜明け前の空を眺め「本当にこれが私の選んだ人生なのか」とボンヤリしてみたり、朝から夕方まで幼児向け番組ばかり見て、長女に足元で泣かれながら洗濯物や食器洗いをして、汗だくで買い物をして…。

 このころ長女は虚弱体質で食物アレルギーもあったのでとにかく病院に通っていました。予定の当日キャンセルも日常茶飯事で、唯一、言葉が通じる夫が帰宅するのは深夜。そして当時はとにかく飲み営業が多く、帰ってきても話せる状態ではありませんでした。時に理不尽なことがあれど、刺激と成長、評価を得られるのが会社員。“食う・寝る・働く”がまともにできない育児生活のなかでそんな夫が羨ましかった。まるで社会から取り残されたような感覚になって何度ママ友に泣き言を聞いてもらったことか。

 趣味でも仕事でも、とにかくもう1本自分を支えるものが必要だと感じました。どうしたら安定するのか。そこで、転勤族でも小さい子を持つ母親でも東京にいなくても、自分らしく人生を充実させるためのベストバランスを模索し始めました。

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