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城壁都市から学ぶ「安全」な場所と「危険」な場所

子育て・教育

城壁都市から学ぶ「安全」な場所と「危険」な場所

犯罪が起きやすい場所は「城壁の外」。自分が今いる場所を見極めて

 子どもが犯罪被害に遭わないために親が知っておくべき知識について、地域の安全や犯罪予防を研究する小宮信夫立正大学教授が、実際の事件や事故をもとに検証しながら解説する連載。今回は、私たち日本人が知っておかなければならない犯罪予防の基礎知識についてお話を聞きます。

日本は、自然環境に守られてきた国

――以前、「日本は防犯後進国」というお話を伺いましたが、なぜそうなってしまったのでしょうか。

 その理由は、これまでの日本の歴史にあります。

 海外に行くと、街の境界を一周する城壁をよく見かけますね。民族紛争が絶えなかった海外では、異民族による奇襲侵略が多く、人々は一カ所に集まり、街全体を壁で囲んで身を守りました。ここから生まれたのが城壁都市です。

 城壁都市は、犯罪機会論のプロトタイプ。いわゆる「入りにくく、見えやすい」場所です。城壁都市で町を守る経験を積んだ民族は、民族紛争の経験から犯罪機会論の基礎を学んできました。

これは、ウズベキスタンにあるヒヴァの街の写真。街全体が城壁に囲まれている

 一方、日本には城壁都市はありません。それは、異民族による奇襲を恐れる必要がなかったから。

 他国から見ると、日本は、国の周辺を海で囲まれた国。これが自然の城壁になっていたため、他国から攻め込まれることがありませんでした。モンゴルの「元寇」がありましたが、台風のおかげで侵略されませんでした。つまり、自分たちが特に努力しなくても、自然環境に守られてきたという歴史があります。そのため、日本には城壁都市を作る理由がなかったんですね。

 日清戦争の後で台湾を植民地にしたとき、日本人は台北の城壁を取り去ろうとしました。しかし、地元民があまりに強く抵抗するため、四つの城門だけ残したんです。地元民にとっては、城壁は、安全・安心の基礎なのですが、それが日本人には理解できなかったのです。このことからも、日本人と中国人の城壁に対する意識の違い、言い換えれば、犯罪機会論的な発想の強弱が分かりますね。

台北に残された4つの門の中の、北門

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