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松永暢史 AI時代を生き抜くのはADHD的個性だ

子育て・教育

松永暢史 AI時代を生き抜くのはADHD的個性だ

「もしかしてADHDタイプ?」の子を伸ばす学習法(上)日本の学校でADHDタイプが問題児になる理由/新しいアイデアがひらめくのはADHDタイプ

「不注意」ではない。あらゆるものに「注意」が向く性質なのだ

 しかし、わが子が「人と違う」ことを多くの親は恐れます。特に小学生になると際立ってきます。

 集中できる時間が短い、人が話している途中で発言する、落ち着きがない、じっとしていられない、感情の起伏が大きい、カッとなりやすい、突発的な行動が多い、忘れ物が多過ぎる……。専門家に相談すると、「ADHDの可能性があります」などと言われる。薬が出されたりもする。

 どうしよう。うちの子は障害者なのかしら……。

 まずは言わせてください。大丈夫です。これまでたくさんのADHDタイプの子の学習をサポートしてきましたが、多くの場合、学年が上がるにつれて収まってきます

 問題なのは「ADHDタイプ」という特性そのものではありません。その特性を個性としては認めず、悪癖のように捉える思想なのです。

 例えばADHDの特徴の一つに「不注意」があります。「一つのことに集中するのが苦手」「物音などの刺激ですぐに気が散ってしまう」などと書かれているので、なんだか非常に残念な感じがしますね。

 しかし、違うんです。私たちADHDタイプは「不注意」なんじゃない。あらゆるものに対して敏感に注意が向いてしまうのです。だから、集中できないのです。

 狩猟採集時代であれば、ADHDタイプは非常に優秀だったはずです。

 つねにキョロキョロと360度に目線を動かし、鳥やウサギが現れないか、おいしそうな木の実はないかと周囲をうかがっていることでしょう。小さな物音がしたら素早く反応し、すぐに獲物を追いかけなくてはいけませんから、あらゆるものに注意を向けるのです。

 さらに獲物を見つけたらすぐ追いかけるという衝動性もまた、ADHDタイプの強みです。「みんなの意見を聞いて、それに合わせよう」なんて思っていたら、獲物は一生捕まえられません。決断は早いほうがいいのです。

ADHDタイプが「勉強嫌い」にさせられてしまう、その理由

 でもその個性は、現代日本の学習環境とは大変に相性がよろしくないわけです。

 授業中、教師は45分間黒板だけを見ていろと言います。にもかかわらず、窓の外では体育をしていたり、カーテンが風にはためいていたり、先生の鼻から鼻毛がはみ出していたりして気になって仕方がない。まして窓からトンボが入ってこようものなら大事件。立ち上がって追いかけないでいられますか?(いられる?……つまんない人だなぁ)

 我々ADHDタイプは教師にとって迷惑なガキでしょう。けれどそれは、数十人の子どもを一カ所に集めて板書指導をするという、日本の画一的な教育指導の中において迷惑であるということです。森の中での自然探求であれば、きっと我々はいい仕事をするはずなのに。

 それに、我々だって努力していないワケではないのです。

 貧乏ゆすりをしたり、シャーペンを回したり、落書きしたりすることで、「それ以外の部分」を動かさない(座り続けている)ことに成功しているんです。この努力をどうか評価していただきたい。

 我々はただの「問題児」ではありません。一般人にはない特別な能力をもつ「ズバ抜けた問題児」なのだということを、まずはここで強調させてください。

次ページ 集中すればするほど、次々にひらめくと...

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