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出会いがカギ どの子も天才になる可能性を秘めている

茂木健一郎さんに聞く地頭の良い子を育てるコツ(2)子どもをアウェーに出し、150人分と付き合える子に育てよう

脳科学者の茂木健一郎さんに、科学的な事実に基づいた最新の子育て論を伺うミニ連載。今回は、子どもを取り巻く人間関係と地頭の良さについてお話を聞きました。人間関係と地頭? この二つがどのように結びつくのか、ピンとこないかもしれませんね。しかし、子どもの将来にとって人間関係を広く持つことはとても重要で、そのためには地頭を伸ばすことが必要だと茂木さんは言います。さらには、天才が生まれる背景には、人との出会いが大きく影響しているのだそう! となると、子どもの人生を左右しかねない人間関係、どのように培ってあげればよいのでしょうか。早速詳しくお聞きしてみましょう。

地頭がいい子は他者の心が分かる

 こんにちは。脳科学者の茂木健一郎です。今回は少し目先を変えてお話ししたいと思います。

 地頭が良いということには、他者の心が分かるということも含まれます。仲間が多い子は間違いなく地頭が良いですね。

 他者の心が分かる人はコミュニケーションが得意です。幼稚園や保育園の園庭で遊んでいても、そんな子どもの周りには、自然と他の子どもたちが集まってくると思いませんか? この子を仮にAちゃんとしましょう。Aちゃんは、周りのお友達の気持ちが、他の子よりもよく分かります。だから、友達の気持ちに気づいて、おもちゃを貸してあげたり、仲間に入れてあげたりすることができます。だから仲間が増えるのです

 他者の内面を察し、理解することができる能力は、4歳から5歳くらいで発達してきます。これを「心の理論(Theory of Mind セオリー・オブ・マインド)」といいます。他者の気持ちが分かるということは、これからの時代において、おそらく最も大事なスキルのひとつになる。僕はそう思っています。

 心の理論は人間だけにあるものです。ポイントは、人間はポーカーフェースが分かるけれど、他の動物には、サルでさえ、ポーカーフェースは分からないということです。例えば、「Bちゃんはニコニコ笑っているけれど、本当は心の中で悲しい思いをしているんだよ」ということは、人間なら幼児くらいになれば分かりますよね。

 動物は仲間が悲しそうにしていたら、自分も悲しそうに鳴くことはできます。けれども、人間はもっとすごくて、見かけとは違う内面があるというのがわかります。これができるのは、人間だけなのです

色々な経験をすると、他者の気持ちがわかる子に育つ

 では、他者の内面がわかる子に育てるためには、どうしたらいいのか。

 日常の子育ての中でぜひしていただきたいのは、絵本の読み聞かせです。絵本を読んであげるときに、登場人物の内面に気持ちがいくように子どもに働きかけてみてください

 例えば、桃太郎のお話を読みながら、「桃太郎が鬼退治に行くとき、おばあさんはどんな気持ちできびだんごを渡したと思う?」「退治された鬼はどんな気持ちだったろうね」と子どもに問いかけてみましょう。読み終わってから考えさせてもいいと思います。その積み重ねで、子どもが自分以外の人の心を思いやる力は育っていきます。

 もうひとつは、子どもに色々な経験をさせることです。お父さんやお母さんが料理を作っていたら、子どもはそれを見ているだけではなく、自分でもやってみることが大事。お父さんやお母さんが作った料理を出されたときは、残したり、「食べたくない」と言う子も、自分が作ると「ママ、おいしい?」「残したらダメだよ」などと言い出します。自分が体験したことで、お父さん、お母さんが普段どんな気持ちで料理を作っているのか、理解できたわけです。

 ほんの小さなことでかまいません。登園の支度をする、洗濯物を畳む、ゴミ出しを一緒にやるといった日常のことでよいのです。お父さん、お母さんは、子どもの身の回りのことをなんでもやってあげるのではなく、できるだけたくさんのことを経験させてあげてください。

他者の気持ちを理屈で理解できる人は社会人として成功できる

 ここまでお話ししたのは他者に対する「共感」についてです。しかし、共感するのが難しいこともありますね。そんなときは、相手の心を理論立てて想像し、「理解」することも必要となります

 なぜなら、今は多様性の時代だからです。世の中には自分とは違う気持ちや趣味・志向の人がたくさんいます。社会に出てからの地頭の良さのポイントは何か。世の中には自分とは異なる志向や悩みを持っている人がいるということを理解し、それに沿うように仕事ができるかです。

 例えば、日本酒を作る「杜氏」という職業の方でも、中には自分はお酒を飲まないという人がいます。その人はお酒を飲むのが好きだから造っているのではありません。世の中にはお酒を好きな人がたくさんいるので、お酒を造ることはビジネスになります。おいしいお酒を造れば、飲みたいと言ってくれる人は増える。それで、よりおいしいお酒を造ろうというモチベーションが生まれてくるわけです。これは共感ではなく、理屈での理解です。

 社会人として成功するために大切なのが、この「理屈で分かる」という力です。

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茂木健一郎さんに聞く地頭の良い子を育てるコツ

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